夜間戦闘シーンに流れユーザーを滾らせる名曲「夜戦!」も生み出した岡宮氏

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 1月7日からMXテレビ他でアニメの放映が始まるなど、いまだ留まるところを知らない人気ぶりを博し、今や大ヒットコンテンツにまで育った『艦隊これくしょん』(以下、『艦これ』)。「艦娘が動く!」と早くも映像化が話題となっているアニメだが、その原作ゲームの“産みの親”の一人とも言えるエグゼクティブプロデューサーの岡宮道生氏にインタビュー取材を敢行。制作秘話に迫った!

エグゼクティブな雑用係

――岡宮さんの役職、『艦これ』における立場や役割などをお聞かせください。

岡宮 『艦これ』で言うと一応エグゼクティブプロデューサーという肩書きになっていますが、基本、雑用係です(笑)。

――エグゼクティブプロデューサーなのにですか?

岡宮 まあ、そういうものですよ。諸々の座組や予算の調整など、バックエンドのほうで色々用意するのが僕の主な役目です。あ、でも1曲だけ、ゲーム内の音楽で僕の作ったものがあります。「夜戦!」なんですけれど。「曲が足りないから書いてくれ」と注文を受けて……。

――雑用の幅が広い気がします。

岡宮 雑用の幅、広いでしょう(笑)。お陰様で好評をいただいてるようで、大越さん(大越香里氏)がアレンジしてくださったバージョンもあるんですよ。『艦これ』は、ほかの曲もいいですよね、音楽がすごくいい。他人事みたいに言ってしまいますが!

――そもそも、『艦これ』の企画自体はどのように立ち上がったのでしょうか。

岡宮 DMM.comの亀山会長が、新しい事業を立ち上げる人材を募集していらっしゃって。僕は元々ゲームに関わっていましたから、「DMMでもゲームを始めてはどうでしょう」と事業の提案をしたんです。

 とはいえ具体的に何を創って提供するか、というところで、付き合いの長い角川ゲームスの田中謙介プロデューサーに話をしたのが最初ですね。酒を呑みながらなんか面白いものいっしょに作りましょうと。その後、改めてシラフと呑みを混ぜつつ何度か会議して。(田中氏とは)お互いにシミュレーションゲームが好きなので、その方向で骨子を詰めていって。……というのが『艦これ』の原型です。

――それは何年ぐらい前のことになるのでしょうか?

岡宮 最初に話をしたのが艦これリリースの2年ぐらい前になると思います。企画が実際に立ち上がったのは(リリースの)約1年前になりますが。

「DMMでやる以上、女の子を題材にしようと思った」

――岡宮さんが土台を作った、という形でしょうか。

岡宮 いや、土台とまでは言えるかどうか……細かい仕様など、ゲーム内容に関しては、ほぼ全編田中さんのテイストが生きてますので。

――縁の下の力持ち的な。

岡宮 力があるかどうかはわかりませんけども(笑)。僕からは、課金周りをどうするかということ以外では、ゲームコンセプトとして「DMMでやる以上、女の子を題材にしたほうがいいだろう」という意見と、当時はカードゲームが流行していましたので、普通のカードゲームには絶対したくないけれども、間口を広げる意味では要素を取り入れたほうがいいのではと提案しました。それに対して擬人化、艦娘というアイディアが田中さんから出てきたんです。

――まさかの艦船擬人化ですね。

岡宮 最初に企画概要が出来上がってきたとき、第一印象から「これは……イイ! 突き抜けてるな!」と。思わずニヤニヤしちゃいましたね。

――それがここまでヒットするとは、想定されていましたか?

岡宮 ないです(笑)。できればヒットして欲しいなぁという野心はありましたが、ここまで大きいタイトルになるとはまったく思っていませんでした。一応、プロジェクトとして採算は取れるように動かしてはいましたけれども、あまりこちらからターゲットを絞らず、こういうゲームが好きな方がやっていただいて、まずはそれで回せれば充分かなと。

 当初は半年から1年で10万人登録が目標で、登録が1万人を超えた段階で田中さんと「大台越えたね」と喜んでたぐらいでした。逆に夏あたりからサーバの準備などが登録者数の増加に追いつかなくなってしまい、皆さんにご迷惑をおかけしてしまって……申し訳有りませんでした。

――女性ユーザーも多いのも特徴ですよね。

岡宮 これも想定外でしたので、ありがたいですね! 元々はガチガチの戦略シミュレーションを考えていましたし……。女の子と艦船ってモロに男子向けの題材ですしね。

 艦これ製作中の当時は、DMMゲームプラットフォームのフロアにもほとんどお客さんがいないような状況で、反響がどのぐらいあるか予想も難しく、社内でも全然期待されてなかったですから、本当に嬉しいです。ここまで大きくなったのは提督の皆さんのおかげです!

 ちなみにサービス開始当初はユーザーサポートも田中さんが自ら、ひとりで受けていて。これは本当の話なんです。

――それは……すごいですね。

岡宮 もちろんスタッフを増やすことも平行して進めていたんですが、、最初のうちはできるだけ僕らの手の届く範囲で、なるべく直接やっていこうという、今の状況を考えると無謀な話もしていました。僕も土日にユーザーサポートを手伝ったりして。ただ、ユーザーの皆さんから直接ご意見を受けることで、プレイして下さっているみなさんの熱量も伝わってきましたね。これはすごく貴重な体験でした。生の声で勉強させて頂いたことも多いです。(つづく)

(取材・文/秋月ひろ)

岡宮道生『艦隊これくしょん -艦これ-』エグゼクティブプロデューサー。 (株)スクウェア・エニックスで『ファイナルファンタジーXII』『ロマンシングサ・ガ・シリーズ』などの宣伝プロデュースに携わり、その後AQインタラクティブ(現・マーベラス)ではKORG DS-10などをプロデュース。現在はDMM.comにてPOWERCHORD STUDIO室長を務める。作編曲家であり、ギタリストでもある。

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