悪役顔で誤解されるけど超優しい俳優No1・波岡一喜、「俳優やめようと思ってた」

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『クローズZERO』シリーズなど数々の作品で独自の印象を残す波岡一喜が、福山功起監督作『夜だから』に主演した。バイオレンスとセクシャル描写が少なくない強烈な作風の中で、静かで弱い男を好演。挑戦が多かった今作を経て、硬派な演技派は何かを得たようだ。

波岡演じる寡黙な工場労働者タイチと女性ダンサーが出会い、心に傷を負った者同士、激しい出会いを通じて、運命が動いていく過程を描く人間ドラマ。美しい京都のロケーションとは対照的に、孤独な男女のバイオレンスとセクシャルな描写が目に痛い。波岡自身も経験したことがなかった作風に戸惑ったそうで、「最初、展開に腰を抜かしましたよ。経験値がないので、自分の精神を削って、それこそ命がけで」演じたという現場を回想する。

実は波岡、華やかなキャリアの影で、俳優を辞めようと思ったことがあるという。「不安や葛藤が続いて、このままで自分、いいのかなって。売れないゼロがようやくイチに上がって、その先に進めていない。ずっとイチのままのような気がして焦っちゃって。もっと何かあるって、ここ2年くらいは求めまくっていましたかね」と話す。その葛藤を秘めたまま、『夜だから』と出会う。未経験の課題が多かった本作は、確実に波岡の何かを変えた。

「この作品に出て、完成した映画を観た後に、『オレ、ちょっと上がったな』って、思えたんですよ。俳優としての階段を」とくだけた表情で笑う。「やったことがないことをいっぱいやったので、見えない世界が見えた気がした。その新鮮な感覚とか衝撃って、映画を観てくれる人たちも感じるものだと思うので、そこでシンクロしてほしいなって思います」。

映画『夜だから』は、大ヒット公開中!

■参照リンク
『夜だから』公式サイト