イタリアの最新「生物多様性植物園」:建築、iBeacon、テクノロジーで対話する仕組み

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世界最古と言われるパドヴァ大学の植物園の内部に、ハイテクを駆使した未来的な生物多様性庭園が開園した。

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植物と話をする人々がいる。そしてこれからは、それに答える植物がいる。イタリア・ヴェネト州パドヴァの新しい「生物多様性庭園」は、訪問者が展示コースや専用のアプリ(iOSAndroid)を通して“交流”し、栽培している植物や花の起源や用途、特徴を知ることができる施設だ。

はるか昔、1545年に設立されたパドヴァ大学の歴史的な植物園の内部に設けられたこの庭園は、世界中からやって来た1,300の植物種を収容している。これらは大陸の数と同じ数の区域に区分されている。

少し歩くだけで、熱帯雨林の湿気から砂漠の乾燥、サバンナから温帯生物群系や地中海性気候までを体験できる。そして、それら異なる植物を共存させるために、インテリジェントな温室システムがつくり上げられた。

覆いはエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)のクッションでつくられている。その形状によって、熱の拡散を抑えることに成功した。温室効果は、エネルギーを節約して、それぞれの種にとって理想的な生息環境をつくり出すために利用される。また、植物が環境条件に反応して二酸化炭素や酸素を放出するとそれをセンサーが感知し、ガラスの開閉を通じて温度を調節できるようにしている。

表面積1,050平方メートルの空中庭園からは、766,500リットルの酸素が生み出される。また、雨水を回収することで45万リットルの水を水槽に貯蔵し、水の自給自足することに成功。環境に対する負荷を最小限に抑えている。


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この植物園の主要な目的は、自然に存在する多様性を研究し、保存することにある。

植物種は、地球上の生命の99.7%を占めていて、わたしたちの生活の基礎となっている。これらのうち、「10%しか研究されていませんが、その一方で、毎日、何百もの生物種が消滅し続けています。これらのうち多くは、手つかずのままです」と、パドヴァ大学の学長、ジュゼッペ・ザッカリーアは説明する。

科学的知見を共有するために、アプリも開発された。iBeaconテクノロジーと施設内に配置された装置によって、スマートフォンは正真正銘の“百科事典”に変身し、訪問者が木々や茂みのそばを通ると自動的に動き出す。

デジタル時代の自然主義者にとって、自然とは外的要因と対立するのではなく、「自然と教育」を組み合わせたものとなる。つまり、テクノロジーと環境が能動的に融合するのだ。

「情報へのアクセスを民主化することは重要です」と、アプリ開発チームを支える開発会社、H-ArtのCEO兼創業者、マッシミリアーノ・ヴェンティミッリャは語る。「『対話する都市』をテーマにして得ることのできる、たくさんの副次的効果については、言うまでもありません」。

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イタリアはひとつの屋外博物館のようなものだ。教育的観点でも、観光的観点でも、歴史的名所と人々のインタラクションを発展させる理想的な土壌だ。国の建て直し──とりわけ、2015年にミラノ万博を控えている──はこうしたことからも始まる。いまやわたしたちは、スマートフォンをいつも手に生きている。その潜在能力を、よりよく活用するべきなのだ。

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