ビールをぐびっと飲みながら「あの選手とあの選手は、一緒に甲子園に出ていたんだぜ」か知ったかぶりをするのは、プロ野球観戦の醍醐味だと思うが、今のプロ野球には、いったいどれくらい高校の「同窓生」がいるのだろうか、現役選手に絞って調べてみた(大リーグ選手も含む)。

1位 横浜高校(神奈川県)16人




最年長の多村仁志から最も若い田原啓吾まで年の差18歳。地元DeNAベイスターズの選手が7人もいる。

松坂大輔も「横浜ベイスターズ(当時)が第一志望」といっていた。チームは強くないが、地元に“就職したい”と思わせる魅力があるのだろう。成瀬と涌井は今年からチームメイト。先輩後輩でローテーションを維持している。

DeNAの野手が6人。全員出場している試合は今のところないが、多村、後藤、荒波、石川、筒香のうち4人が出る試合は結構ある。多村、後藤、荒波は外野のポジションを争うライバル。先輩後輩で遠慮はないはずだ。

2位 PL学園(大阪府) 12人




2位は12人、3校ある。まずはPL学園。OBも含めれば最も多くのプロ野球選手を輩出している(昨年時点で1軍試合出場の選手だけで70人)。

1993年夏の甲子園、PL学園は大阪大会の決勝で近大付属に負けるが、この時のエースが3年生の松井和夫(稼頭央)、外野手に2年生の大村三郎(岡山からの野球留学)、1年生の福留孝介(鹿児島からの野球留学)。この3人が21年を経てまだ現役。

顔ぶれを見るとこの3人の他、今江、小窪などしぶとい打者が多い。

今輝いているのは、何といってもマエケンだろう。高校時代は投打で活躍。大阪大会では中田翔や平田良介のいる大阪桐蔭と名勝負を繰り広げた。


2位 大阪桐蔭(大阪府) 12人




2位タイの2校目はその大阪桐蔭。顔ぶれがすごい。

西武の中村は4番、阪神の岩田はエースだった。二人は甲子園には出ていない。1年後輩の西岡は翌年夏の甲子園に4番主将で出ている。

2013年夏の甲子園の優勝バッテリー藤浪と森は今、敵味方。西武に4人、阪神に4人。交流戦は、OB戦のようになる。

中田翔、中村剛也、浅村栄斗は日本人屈指のスラッガーとして毎年激しいタイトル争いをしている。

2012年は中村が本塁打王(27)、中田が2位タイ(24)、2013年は浅村が打点王(110)、本塁打3位(27)、中田が2位タイ(28)、今年は中田翔が初の打点王に向けて走っている。

2位 広陵高校(広島県) 12人




2位タイの3校目は広島の広陵高校。

地元広島の選手が多い。西村健太朗と白濱裕太、野村祐輔と小林誠司は高校時代に同級生のバッテリーだったが、今はクロスして、巨人で西村と小林、広島で野村と白濱がバッテリーを組む。

上本博紀と上本崇司は兄弟だ。

福原忍は昨年引退した二岡智弘と高校のチームメイト。小学校からのライバルだった。

5位 東海大相模(神奈川県) 11人




菅野智之が巨人原辰徳監督の甥っ子なのはよく知られているが、ロッテの角は元巨人クローザーの角盈男の次男だ。

意外な気がするが大田泰示よりも菅野の方が1年先輩。菅野は大学4年に1年浪人しているから大田より4年遅れて巨人入り。菅野の同期、田中広輔は、今年になって遊撃の正位置を奪いつつある。

6位 帝京高(東京都) 10人




少し前まで森本が同窓生のスターだったが、今年は中村晃が伸びてきた。外野と一塁を掛け持ちしながら打率3割をキープ。

松本、杉谷など守備、控えの選手が多い。

高校野球での実績と、プロ野球選手の輩出は比例するとは限らない。選抜の優勝校龍谷大平安の現役プロ選手は、赤松真人 (広島)、今浪隆博 (ヤクルト)、炭谷銀仁朗 (西武)の3人だけ。

人材の巡り合せがあるのだろう。

今年甲子園で活躍する選手たちも、数年後、敵味方に分かれて覇権を競うことになるのだ。

【執筆:広尾晃】
1959年大阪市生まれ。日米の野球記録を専門に取り上げるブログサイト「野球の記録で話したい」でライブドアブログ奨学金受賞。著書に「プロ野球なんでもランキング」(イーストプレス刊)。