中国の第一財経日報の副編集長で、シンクタンク・中華元智庫の創業者である張庭〓氏は著書で「今後3年間で中国の富裕層の8割が富を失う」と警鐘を鳴らした。中国メディアの河北青年報が伝えた。(〓はウ冠に兵)(写真はイメージ。「CNSPHOTO」提供)

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 中国の第一財経日報の副編集長で、シンクタンク・中華元智庫の創業者である張庭〓氏は著書で「今後3年間で中国の富裕層の8割が富を失う」と警鐘を鳴らした。中国メディアの河北青年報が伝えた。(〓はウ冠に兵)

 記事は、張庭〓氏が主張した「3年間」という期間については「疑問の余地がある」としながらも、過去35年間の経済成長によって生まれた富裕層のなかには没落していった人も多いと論じた。

 続けて、張庭〓氏が「まず最初に鉄鋼や鉱山といった社会に環境汚染をもたらしている業界のほか、不動産業界で財を成した富裕層が富を失うだろう」と述べたことを紹介。今後、社会や経済のルールが大きく変わるとの見通しを示すと同時に、「鉄鋼や鉱山、不動産業界で財を成した富裕層らは変化に適応できず、貯めてきた財産を失う」との見方を示した。

 さらに中国の富裕層がこれまでに財を成した方法は、時代ごとに3つに大分できると主張、1980年代は特権を利用したブローカーが大金持ちになった時代だったと指摘した。続けて、90年代はメーカーとしての製造業の立ち上げや、不動産・株式への投資のほか、密輸でも財を成した人物がいたことを紹介した。

 続けて2000年から現在までは世界の工場として安価な人件費を活用した請け負い生産や、不動産バブル、また、人民元の切り上げにともなうホットマネー流入と中国株の暴騰、さらに現在は理財商品への投資などによって多くの富裕層が生まれたと紹介した。

 張庭〓氏は「中国で富が生まれるプロセスが創業から投機、そして貸し付けという流れになり、実業から虚業に変化していることがわかる」と主張。

 さらに「今後3年間で中国の富裕層の8割が富を失う」と主張した根拠について、過去35年間にわたる経済発展は人口ボーナスおよび安価な資源、民間経済の発展によるものだったと指摘する一方、人口減少と資源価格の上昇、民間経済の発展が頭打ちになれば中国経済は改革開放以来の大きな調整を迫られることになると主張した。

 記事は、中国経済をめぐる大きな変化のもと、富を生み出してきた従来の方法は行き詰まりつつあるとし、「過去の考えのままでは、将来において富を増やすことはできないばかりか、失うことに成り得る」と論じた。(編集担当:村山健二)