前回に引き続き、『SLUGGER』９月号に「後半戦の予言」として述べたことについてもうちょっと突っ込んで補足説明しておきたい。

今回は『A’sのサンノゼ移転がようやく決定』についてだ。

aug 18 026６月18日、サンノゼ市がアスレチックスのオークランドからの移転を承認しないＭＬＢを、独占禁止法違反で訴えた。

一見「泥沼化」のように見えるが、解決のきっかけになるかもしれない。



アスレチックスの新球場問題の発端は2006年に遡る。

当初はオークランドの東南約25マイル（約42キロ）のフリーモント移転するプランが発表されたが、球場建設による環境悪化を懸念する住民の反対により頓挫した。

次の候補地が、サンフランシスコの南50マイル（約80キロ）のサンノゼだった。

移転の妨げは、同市を含むサンタクララ・カウンティをテリトリーとするジャイアンツの猛反対だ。

90年に当時の本拠地キャンドルスティック・パークの不入りに苦しんでいたジャイアンツがサンタクララへの移転を目論んだ。

aug 18 036この時、前年世界一の「勝ち組」アスレチックスの当時のオーナーウオルター・ハースが、ジャイアンツ救済のために領有権を承認したことが尾を引いている。

ジャイアンツは「恩知らず」のようにも見えるが、現在の筆頭オーナーのチャールズ・ジョンソンは11年にその座についており、90年当時のボブ・ルーリエとは別の経営陣だ。

「サンタクララの領有権も含めカネを払った」と認識するのはごく自然なことだろう。



辣腕バド・シーリグ・コミッショナーも、この移転問題だけは手を焼いている。

ESPNは、シーリグが手をこまねいている間に「どれだけの汚物が老朽化の進むオー・ドット・コー・コロシアムの下水管から漏れ出ただろうか。

その悪臭は（コミッショナー事務局のあるニューヨークの）パーク・アベニューまでは届いていないのだろう」と皮肉っている。

aug 18 033しかし、「訴訟」によりこの問題はうやむやにすることが不可能になったとも言える。

また、サンノゼ市が望むのは賠償金ではなく、アスレチックスの移転承認である。

「訴訟」は、シーリグをジャイアンツになんらかの代償を与えることによる政治決着を目指す活動を促すのではないか。