4月6日(土)新宿バルト9にて先行公開 4月13日(土)より、全国公開 『HK 変態仮面』(C)2013 「HENTAI KAMEN」製作委員会 

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“それは私のおいなりさんだ。”

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連載終了から20年を経てなおカルトな人気を誇る漫画『究極!!変態仮面』。女性のパンティを顔面にかぶることで超人的パワーを発揮できるという、前代未聞の背徳的ヒーローを描いたこの作品が、まさかの“実写映画化”発表。4月13日からの全国ロードショーを控え、かつてジャンプ少年だった20代〜30代の男性中心に話題を呼んでいる。

実写版のタイトルは『HK 変態仮面』。監督は『勇者ヨシヒコ』『コドモ警察』の福田雄一氏、脚本協力には原作の熱狂的ファンだという小栗旬氏がクレジットされ、そうした意味でも話題性は十分。主演を務めるのはモデル出身の俳優、鈴木亮平氏。この映画のために約1年間かけてカラダ作りに励んだというだけあり、原作さながらのマッシブな肉体美も見どころだ。

今回はそんな伝説的コミックの映画公開に先がけ、原作ストーリー紹介、本作が各方面に与えた影響、そして変態仮面のDNA(?)を受け継いだ“2010年代の変態コミック”まで、”変態”づくしの情報をお届けしたい。

■■フォオオオォ!クロス・アウッ!(脱衣)

『変態仮面』の主人公・色丞狂介(しきじょうきょうすけ)は、高校で拳法部のエースとして活躍する好青年。だが彼には刑事でドMの父親と、現役SM女王様の母親から受け継いだ“変態”の血が色濃く流れていた。女性のパンティを顔にかぶることで潜在能力をフルに引き出し、悪を成敗する謎のヒーロー・変態仮面に変身できるのだ。ひと目ぼれしたクラスメートの愛子ちゃんにこんな姿を見られたくないと願いつつ、親から譲り受けた正義感と変態の血がそれを許さない。パンティがあれば反射的にかぶって変身してしまう――そんな狂介の苦悩と快感に満ちた戦いを描くアクションギャグ漫画である。

当時の読者を楽しませ、またドン引きさせたのが変態仮面の外見。パンティのクロッチ部分がちょうど鼻先にくるように装着し、眼光だけは異様な鋭さを放っている。また、変身時には興奮のあまり「クロス・アウッ!」の掛け声とともに脱衣するため、ほぼ常時全裸。かろうじて白ブリーフ1枚と女性用ストッキングが下半身を隠しているだけだ。

登場&必殺技の演出も秀逸。悪党のそばに気配もなく潜み、ブリーフを食い込ませた股間を突き出しておく。そして悪党が股間に触ってしまい「ん……何だこれ、生暖かいぞ?」「それは私のおいなりさんだ」「ぎゃあー!?」のやりとりが代表的なパターン。おいなり(ちまきと呼称する場合も)状に引き絞った股間を触らせることで悪党の戦意を喪失させ、その後の戦闘を有利に運ぶのだ。トドメの必殺技も、敵の顔面に股間からダイブして襲い掛かる「地獄のジェットトレイン」、何枚もの鏡に自分の姿を映し出して一斉に股間から迫っていく「鏡の中のアリス」など股間づくし。餌食となった悪党は天国と地獄を同時に見たような顔をして轟沈する。

その斬新きわまるビジュアルや演出に「フォオオオォ!」「おいなりさんだ」「成敗!」などキャッチーなセリフの数々、さらに美少女キャラたちのお色気シーンが程よく加わり、小学校高学年〜中高生のジャンプ読者に大ウケした。

ちなみに『変態仮面』が連載されていた1992〜93年は週刊少年ジャンプの黄金期まっただ中。発行部数が現在の2倍以上、600万部をコンスタントに超えていた時代の作品である。そのため連載期間がわずか1年(全6巻)でありながら、目にしたことのある読者は相当多いはず。『ドラゴンボール』で孫悟空の親子が地球を守るためセルと必死に戦っていた頃、変態仮面はしれっと同じ誌面上でパンティをかぶっていたのである。

■■現実に影響を与えた変態仮面

そんなわけで読者の記憶に強く残っている『変態仮面』。終了から今年で20年になるが、いまだにさまざまな場所でネタにされている。

まずは漫画好きが集まるインターネット掲示板の2ちゃんねる。ここでは変態仮面が定番のAA(アスキーアート=文字だけで作ったイラスト)になっており、変態ネタ・股間ネタなどが出てきた場面で貼られることが多い。

『変態仮面』の知名度が悪い意味でニュースになってしまったこともあった。今から4年前、鳥取が誇る名横綱・琴櫻(ことざくら)関の銅像に、何者かがパンティをかぶせたのだ。その特徴的なかぶり方は、どう見ても犯人が

『変態仮面』読者だったことを連想させる。この神をも恐れぬ所業に鳥取県倉吉市長は激怒し、ネット住人たちは「変態仮面wwww」と茶化した。それ以降も犯人が捕まったという情報は聞かない……。当時のニュース記事などは【横綱・琴桜の銅像の顔に女性用下着…市長が発見して激怒】(zenbackキーワーズ)を参照していただきたい。

さて、『変態仮面』映画化にタイミングを合わせた最新の動きも紹介しよう。スマホで撮影した写真を漫画っぽく加工できる無料アプリ「オタクカメラ」が、このたび『変態仮面』とのコラボを実現。誰でも気軽に変態ヒーローになることができるようになった。【オタクカメラ 紹介記事】TABROIDちゃんねる参照。

また、劇場公開に合わせて『変態仮面』のノベライズも決定。さらに本家より危険な書籍として、変態仮面を強烈に意識したと思われる写真集『かおぱん。―女子校生パンティ仮面』も今年2月に出版。いろんな意味で、世界に誇る日本の”変態”ムーブメントが加速している。

■■『変態仮面』の遺伝子を継ぐ漫画たち

最後に、この2010年代にも存在している“変態”漫画を3つピックアップしたい。いずれもヒーローまたはヒロインが、変態的なコンセプトで戦う作品だ。

【便器部門】『うんP先生』 作:大和田秀樹 角川書店

作者は『ムダヅモ無き改革』『機動戦士ガンダムさん』などで知られるベテランの大和田秀樹氏。貧弱な小学校教師がひょんなことから“う○この神様”と契約してしまい、変身ヒーローになる物語だ。頭にう○このオブジェを載せ、全身は『変態仮面』をリスペクトするようにブリーフ1枚。「アディオス・ウン・コガディール!」の掛け声で変身し、トイレの吸盤やブリーフ投げなどを駆使して戦う。『変態仮面』のターゲットが中学生とするなら、こちらはもっと幼い小学生、あるいは小学校当時のノスタルジー気分に浸りたい大人むけだろう。なまじ作者の画力と構成力が高いため、トホホな作品内容とのギャップがおもしろい。

【脱衣部門】『ヌードファイター柚希』 作:為永ゆう 小学館

脱げば脱ぐほど強くなるという伝説の拳法――“裸拳(らけん)”の継承者として生まれ育ったヒロインが、平穏な学園生活を望みながらも戦いに巻き込まれていくセクシー系コメディ。企画段階ではむさ苦しい野郎同士が裸で戦う構想もあったそうだが、編集者に猛反対されて(そりゃそうだ)美少女たちが脱衣しながら戦う漫画となった。少年誌ではなくケータイコミックサイトでの連載作だけに過激な描写が多い。ターゲット層としては十代後半以降、やや大人むけだろうか。

【お漏らし我慢部門】『黄金の酔拳士(ドラッケン)』 作:太陽まりい 小学館

 酔えば酔うほど強くなるという伝説の拳法――“酔拳(すいけん)”の継承者として生まれ育ったヒロインが、尿意に耐えながらも悪の組織と戦っていくセクシー(?)系コメディ。小学館が送り込んだ第2の変態漫画である。ヒロインは誰にも負けない酔拳使いなのだが、アルコールがもつ利尿作用により非常にトイレが近い。そのためもっぱら敵は悪党ではなく、自分の尿意というわけだ。頬を赤らめ、よだれと涙を垂らしながらトイレを我慢しつつ戦う美少女……まあ、なんというか、ターゲット読者層はどこなんだよというか、その、趣味は人それぞれですから……ね?

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