1月14日以降のビデオ・リサーチ視聴率表(関東地区)から「20%」を超える番組が消え、さまざまな憶測を招いている。
 今年に入ってからは年初にわずか3番組が超えた程度で、残りはすべて20%以下。2月に入っても変化はみられず常態化しつつある(最新データ2月18日〜2月24日の週もゼロ)。
 この現象にテレビ局幹部は頭を抱えている状態だ。

 「20%超え」の番組は1月6日放送『八重の桜』(NHK)の初回である20.6%、1月10日『ぐるナイゴチ』(日テレ系)22.3%、1月13日『NHK7時定時ニュース』20.6%の3本。
 「例年なら年初に10本ぐらいの番組が超えるはずですが、今回は異常な冷え込みといえます」(テレビ雑誌担当者)

 この問題を最初にとりあげたのは、産経新聞のベテランテレビ欄担当者だった。今年5週目の調査期間(1月28日〜2月3日)に入ってからも「20%超え」は登場せず、『週間視聴率』ランキングを始めて十数年で初めての事態、と首を傾げている。
 その担当者は、先日放送された関連番組『1000人が考えるテレビミライ』(NHK)の放送内容にも触れ、昨今の視聴環境の激変(録画視聴やネットの台頭)によるテレビ急速進行などを論じ、還暦を迎えたテレビが大変な岐路に立たされていることは一目瞭然、と結んでいる。

 このように「20%超え」が極端に減ってきたのは、視聴者が録画して見る慣習が定着化したためと理解してよかろう。通称「録画再生率」をもっと重要視すべきということだ。
 場合によっては視聴率よりも、録画再生率の方が高い場合も少なくないからである。年初に放送されたドラマ『ラッキーセブンスペシャル』(フジ系)は視聴率は12.6%だったが、録画再生率はその数字を上回り13.5%に達している。

 ただ、視聴率に加え、録画再生率も調査し公表すれば莫大な経費が必要となる。
 ビデオ・リサーチも、そのあたりがネックとなっているに違いない。だが、早急に2部門同時調査に踏み切らないと調査機関としての存在が問われるに違いない。(編集長・黒川誠一)