最近、EDなどの勃起障害があったり、性行為の際に射精に至らない若い男性が増えている(『今、男性の膣内射精障害が問題になっている』http://wpb.shueisha.co.jp/2012/07/26/12890/)。しかし、自分の精子の状態にまで気を配っている人はどれほどいるだろうか。意外と知られていない日本人男性の精子の現状について、男性不妊専門「恵比寿つじクリニック」の辻祐治先生に聞いた。

そもそも、精子とはナニモノなのか?

「子供をつくる際に必要な男性の生殖細胞のひとつです。1回の射精における基準値は

1.5cc以上の精液内に3900万個以上の精子がいれば正常だといわれています」

つまり、1回の射精でだいたい小さじ3分の1杯分(約16cc)も出れば問題ないというわけだ。しかし、量があればいいわけではない。

「見た目はそれで問題はないですが、その中に精子がいるか、その精子が正常かどうかは精液検査をしないとわかりません。精液の中には良い精子と悪い精子がいます。良い精子とは形がオタマジャクシのように頭部と尾部で構成され、直線的あるいは大きな円を描くように動いているものです。悪い精子とは、動かなかったり、頭の形が変だったり、尾が短すぎたりするものをいいます。死んでしまった精子もこれに当たりますね」

しかも、精子に異常がある人は少なくないという。

「日本人男性の100人に1人は精液中に精子がまったくない『無精子症』といわれているんですよ。男性不妊を受診される患者さんでは約半数が精子に何かしらの異常を抱えているとされ、その内訳は、精子の動きが悪い『精子無力症』の方が26%、精子数が少ない『乏精子症』が8%、形のいい精子が極端に少ない『奇形精子症』の方が1%、『無精子症』の方が8%です」

そんな自分の精子の状態をチェックする方法はあるのだろうか。

「精液が水のようにサラサラしていたり、量が少なすぎるといったような場合は要注意です。とりあえず自分の精子に不安がある方には精液検査をオススメします。精液検査は痛くもコワくもありません。精液採取室で出していただいた精子を検査すると1時間後には結果が出ますよ」

普段あまり意識することのない精子の健康問題。少しでも気になる人は、一度専門医で検査してもらうと安心かもしれない。

(取材・文/河合桃子)