PSYは楽しんでいる“プライド・オブ・コリア”

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PSYの親近感のあるイメージと堂々とした態度、韓国のファンから支持される彼が世界を魅了する

歌手のPSY(サイ)が世界中で収めた成功には目を見張るものがある。16日に米NBCの人気番組、「Saturday Night Live(SNL)」の新しいシーズン(シーズン38)の初回に登場したPSYは、アメリカの観客の熱烈な歓呼の中で「江南(カンナム)スタイル」を披露した。

2012年9月。PSYは“夢”と表現するほどファンタスティックな日々を送っている。6日に「2012 MTV Video Music Awards」にサプライズ登場したことを皮切りに、11日にはNBCの有名トークショー「エレンの部屋」に特別出演し、ブリトニー・スピアーズに馬ダンスを教えた。14日にNBC「TODAY Show」に登場したPSYは、19日にはNBC「エレンの部屋」に正式ゲストとして出演し、魅力をアピールした。

PSYの成功は、音楽性と大衆性、個性が調和した結果だ。彼は、ユーモア溢れる軽快なリズムの「江南スタイル」のMVで世界中の音楽ファンを引き付けた。

PSYブームを超え、“韓国”を伝える米メディア

面白いことは、「江南スタイル」のMVに対する米メディアの関心が音楽だけに留まってはいないということだ。CNNなど、米メディアはハングルの固有名詞(地名)である「江南」と英語の「Style」を合わせた「江南スタイル」という題名と歌詞の内容にも興味を示した。その後、詳しい説明を添えてソウルの江南を説明する報道が続いた。

米メディアによる「江南スタイル」報道は、韓国の大衆文化を伝播する媒体になっている。言葉、ファッション、さらにMVに登場したコメディアン(ユ・ジェソク、ノ・ホンチョル)まで。NBC「TODAY Show」で司会者が「いかがですか?」と韓国語で叫んで、スクリーンの背景に「ハングル授業」という英語の字幕と「How Are You」「Otto-Shim-nikka(いかがですか?)」が登場したシーンが代表的だった。

「江南スタイル」に端を発してアメリカで類例のない“韓国を知る動き”に対し、韓国メディアの意見は分かれている。多くのメディアは、米国内の現象を“愛国主義”や“経済第一主義”の観点から肯定的に見ている。果たしてアメリカでのPSYブームは、どのように見るべきなのか。PSYブームの答えを1つだと断定することは無理だと思う。ただ、「江南スタイル」がアメリカに新しい韓国文化を伝播していることは明らかな事実だ。

PSYも自ら韓国を知らせることに負担がないように見える。逆に楽しんでいるように見える。アメリカの番組に登場したPSYは、愉快に韓国を紹介することで韓国のファンとも交流している。アメリカの番組に出演し、韓国語で「素晴らしいだろう?」「大韓民国万歳!」を叫ぶ。広報やマーケティングのレベルではない。「本当に楽しむことのできる皆さんがこの国のチャンピオンです」という「Champion」の歌詞のように、彼は自身に訪れた一生一代の機会を存分に楽しんでいる。

PSYの自信溢れる姿に韓国の人々は熱狂する。PSYの態度は、日本進出を念頭に置いた一部アイドルの控え目な態度と対比され、より熱狂的な反応を呼んだ。

PSYは楽しんでいる!“プライド・オブ・コリア”

最初は心配があったのも事実だ。アメリカの番組で韓国語を使えば失礼になるのではないかという余計な心配もした。だが、PSYは流暢な英語を武器にしながらもアメリカの番組で韓国語を堂々と使った。

PSYは、アメリカでの活動で自身の発言「DRESS Classy DANCE Cheesy(服は高級に、ダンスはチープに)」に合う行動を見せている。PSYは、ステージでは限りなく軽く行動するが、インタビューのときは流暢な英語をもとに自信や品のある姿を見せている。そして“韓国自慢”を楽しんでいる。司会者に了承を得て「大韓民国万歳!」と叫んだ後、人々から呼応を得るシーンは圧巻だった。

留学生と海外同胞の間には「外国に出れば愛国者になる」という話がある。それだけ外国にいると母国への思いが大きくなるという意味だ。彼らにPSYは、大きい自負を与えた。ニューヨーク、マンハッタン広場に限らず集まった韓国の留学生や同胞に「大韓民国万歳」というその一言はどれほど感激を与えたのだろうか。PSYの行動は、強要された愛国心ではなかった。彼は言葉通り、楽しんでいた。自身の楽曲が起こしたアメリカでのブーム、“プライド・オブ・コリア”のことを。

なぜか怖いものは何もなかった。堂々としていたが、礼儀に外れることはしなかった。アメリカのパパラッチに対する彼の態度は特に輝いた。忙しい日程の中でパパラッチの存在は、無視されがちだ。だが、PSYはそうしなかった。パパラッチの質問を無視せず、「エネルギーの原動力はアルコール」というユーモアのある返事で現場の雰囲気を明るくした。また、当たり前のように「僕だけがパパラッチに良くしてあげるのか」と言いながら「僕は新人だから」と続けて笑いを誘った。親近感のあるPSYの姿は、十分好感を得るようなものだった。

韓国人が認めた唯一のスーパースター!世界を魅了する!

PSYを見ながら嬉しくなる理由は、そこにある。「江南スタイル」の成功で肩に力が入ったり、流暢な英語の実力を自慢したりすることもあるはずだが、彼は韓国にいるファンへの配慮を忘れない。

韓国人は、プライドが高い。自称を除いて、韓国のミュージシャンを“ワールドスター”だと認めたことはほとんどない。だが、そのような韓国の大衆がPSYに親指を立てた。軍隊に2回も行ってきて、アメリカでの留学生活もまともに終えなかったPSYを真のスーパースターと認めたわけだ。

なぜだろうか。それは、親近感と堂々とした態度をもとに世界中に韓国を知らせるPSYに対する誇りがあったためだと思う。PSYも自身に起きる驚くべきことを楽しみながら、韓国のファンたちとコミュニケーションしている。韓国語の歌詞で、アメリカ市場にブームを巻き起こした驚異。人々は、アメリカの大スターの前でもひるまないPSYを見て力を得ている。私たちもできるという自信を得ているということだ。

PSYブームはさらに広がっている。「江南スタイル」は、「MTV EMA FRANKFURT 2012」のベストビデオ部門にノミネートされた。PSYの挑戦がどこまで続くのか楽しく見守りたい。