ヴォルフスブルグ対ドルトムント 〜トラウマ〜
結果は3-1。ドルトムントが2点先制するが、ヴォルフスブルグが反撃の狼煙を上げる。その後もヴォルフスブルグの強引な攻撃に苦しめられるドルトムントだったが、マドルンクが退場。そして、ロスタイムに相手のミスからダメ押しゴールを決めることに成功、といった試合であった。
スコアだけ見ると、ドルトムントやっぱりつえーとなりそうだが、試合内容は非常に危なっかしいものであった。それは好調らしいヴォルフスブルグの今を象徴していたのかもしれないし、ドルトムントの悪癖が表面化したのかもしれない。答えは風の中である。
最初に目についたのはドルトムントが結果を出している理由ですね。ボールの運び方がめちゃくちゃスムーズでした。ヴォルフスブルグの稚拙さにも助けられましたが、シーズンが始まったころに比べると、雲泥の差でした。サヒンの面影を追っていたころが懐かしいですね。
──最初にヴォルフスブルグの稚拙さから説明してください。
ヴォルフスブルグは2トップとデジャガが絶好調でした。マガトの下で鍛えられたからかもしれません。申し訳ないですが。ヘルメス、マンジュキッチ、デジャガがここまでできるとは思っても見ませんでした。このトリオはそのボールをキープできちゃうんだとか、この局面を突破しちゃうんだといった個人にによる打開を何度も見せていました。それだけ特別なトリオということです。
──質問に答えてください。
ヴォルフスブルグは4-4-2で守備をセットしていました。しかし、狙いとしては、相手の両CBにもプレスをかけ、ボールを運ばせたくなかったのだと思います。しかし、スタメンを眺めればわかるように、中央は数的不利です。なので、この位置の数的不利を打開するネタが必要でした。
そのネタは別に何でもかまいません。CBが飛び出してくる。数的不利をものともしないプレスで相手のCBから時間を奪うなどなどいくらでも出てきます。しかし、ヴォルフスブルグはここをあんまり重視していないように見えました。DFラインを高くしてスペースを潰せば、多少フリーで受けてもプレスが間に合うだろうみたいなイメージです。
結果として、どうなったかというと、あっさりボールを運ばれてしまいました。ヴォルフスブルグは4-4-0-2のようになってしまい、FWとMFの間のスペースをギュンドアンやケールに使われて終了です。ここで、FWがプレスバックしてくればOKなんですが、彼らは攻撃で違いを作れる選手なので、そこまで下がるとカウンターが機能しなくなる。難しい決断ですよね。
──FWとMFの間のスペースを使われた、ということですが、ようするにスペースができたということでよね。なんでできたんでしょうか。
1つは枚数が足りなかったのが大きいです。ドルトムントのCBはプレスがかかっても繋げます。パスコースがあれば。ここで香川が秀逸でした。香川がボールを引き出すことはあまりありませんでしたが、彼が中盤のマークをひきつけることで、ケールたちにスペースを与えます。だから、数的優位が活きてきます。また、ドルトムントは裏への意識がべらぼうに強いので、DFラインも下がるしかありません。
──それで、ドルトムントがボールを保持することに成功したと。
そうですね。あとはのらりくらいと攻撃を仕掛け続けていれば、そのうちに相手が崩れるという寸法になっています。
──ヌリ・サヒン恐怖症とかつぶやいていましたが、どういう意味ですか？
今日のドルトムントのサッカーを見ていて感じたのは、誰が試合に出てもどうにかなりそうだなということです。ペリシッチやクバがここまで中央に進出、サイドから仕掛けるをバランスよく判断できるとは想像していませんでしたし、ケールとさんざん叩かれていたギュンドアンもチームにかみ合っていました。
ドルトムントの強さはスペースメイクとスペースへの進出です。そこにエゴがないのが強みでしょうか。誰かが開けたら誰かが入ってくる。動いた選手もしっかりボールホルダーに自分の動きの意図を伝える。そういったことが浸透しているので、誰かがいなくいなった途端にチームが機能しなくなることはなさそうです。
もちろん、その選手の個性によって、多少は色が変わってくると思います。それを試合の流れをかえるきっかけにすればいいわけで、クロップ監督はここを目指していたのだとすると、恐ろしい監督だなと思います。強いていうなら、フンメルスが抜けたらきついかもしれませんね。
──我らが香川の穴はあっさり埋まるというのか！！！！
ゲッツェとロイスがいればどうにかなりそうでないかい？？もちろん、残ってくれれば万々歳でしょうけど。ペリシッチ、クバ、レバンドフスキをあそこまで成長させた監督なら何でもありなような気がします。
──ドルトムントの守備が微妙とも言っていましたが。
SBが高い位置取りをするので、カウンターが恐いです。サイドに突破のドリブル大好きな選手がいると、めんどくさそうです。ただ、ボールを奪われなければOKなので、そこまで警戒する必要も無いです。相手が守備に参加しないということは、それだけ攻撃を安定させることもできるので。
それよりもきついのが中盤のフィジカルです。基本は前プレなんですけど、放り込まれるとあんまり強くないです。セカンドボール合戦やボランチ対FWでの空中戦は高い確率で負けます。だから、そういう戦い方のチームには苦労すると思います。ブンデスリーガはどうでしょうね、ボールを大事にするチームが増えている印象があるので、戦いやすいかもしれません。
──次節はバイエルンですが。
語弊のある言い方ですが、両チームとも似ていると思います。ボールを保持して攻撃をしたい。ドルトムントのほうがオフ・ザ・ボールの動きが多く連動性がある。バイエルンはボールをめいいっぱいに動かすことで、サイドに時間を与える。
両チームとも守備に隙があります。ロッベンが好き勝手に動き回るので、Mullerはその尻拭いに追われる。ドルトムントはマリオ・ゴメスに放り込まれてシュバインシュタイガーとミュラーがセカンドボールを狙ってきたらめんどくさいことになります。
たぶん、自分らしさを捨てたチームが勝てるかもしれません。ただ、ドルトムントのほうがらしさを発揮できそうなので、そこをどう考えるかは見物な対決になると思います。
■独り言
長谷部は何をしているんだと。細貝は試合に出ていたのでOKだけど、長谷部はどうしたいんだと。レッズの福田がSBをしているくらいなら、戻ってこいよと言っていたが、本当にそのとおりだと思う。別に浦和じゃなくてもいいから。
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