去年のセリーグを戦力だけで見るならば、中日の優勝は考えられなかった。あれだけ弱い打線で、ペナントレースを制するのはあり得なかった。しかし、実際はかなり余裕を持ってペナントレースを制した。これは乏しい戦力をうまく使って僅差での勝利を獲得した、采配の勝利ということだろう。
DIPSとRC27でマッピングをしてみた。2011年は実績、2012年は選手成績を集計して出したもの。オレンジの点線は昨年のポストシーズン進出チーム。

Preview-CL-20110327


前回までこの比較はERAとRC27で試みていた。ERAでいえば中日は2.46と断トツの数字だった。しかしDIPSは3.29。阪神はERAは2.83だがDIPSは3.02、巨人はERA2.61、DIPSは3.30。

私はセイバーメトリクスの盲信者ではないが、被本塁打、与四球、奪三振のみで導き出され、運の要素を排除したDIPSは投手本来の実力を表す数字として、それなりに信頼が置けると思う。

これまで、中日は圧倒的な投手力で勝ってきたと私も思っていたが、これを改め、乏しい打力と上位ではあるが突出しているとまではいえない投手力を、采配の妙で優勝に導いたと解釈したい。

反対にいえば、巨人、阪神は強大な戦力を有しながら、采配において中日に及ばなかったということになる。
2012年、中日は投手力はチェンが抜けたためダウン、攻撃力は貧打の野手を放出し、山崎武司が入ったことで向上してる。しかし、それでも打線は見劣りする。

巨人は投打ともに圧倒的な補強をし、戦力は大幅に向上。阪神は下柳を放出した以外は全く動かず。ヤクルトも青木が抜けた以外は大きな変化なし。広島は外国人選手の補強で数字上はアップしている(スタビノアはオープン戦に間に合わなかったが)。DeNAは“独自の戦い”。

この表だけで判断するのは難しい部分があるのだが、今季は落合采配がなくなった中日は苦労するだろうと思われる。またヤクルトはここ2年、実力以上に勝ってきた印象がある。広島は特に投手力の整備が顕著だ。そして阪神は「動かないチームは退歩する」の原則で考えたい。

結論
2011年 中日 巨人 ヤクルト 阪神 広島 横浜
2012年 巨人 広島 中日 阪神 ヤクルト DeNA