3位から6位までが対象となる「J1昇格プレーオフ」。その一方で21・22位が対象となる「J2・JFL入れ替え戦」。「デッド・オア・アライブ」の嵐が吹き荒れる中、J2リーグは14年目のシーズンへ漕ぎ出そうとしている。

では肝心のクラブ側。特にJ2の過半数を占める地方クラブはこの変革に際し、どんな感情を抱き、どんな準備をして戦いに臨もうとしているのだろうか? そこで今回Jマガでは昨年12月12日、スポンサー向けのシーズン報告会直後の囲みで1時間あまり語った愛媛FC・亀井文雄社長のインタビューをご紹介。クラブの現状や課題、将来目標を包み隠さず話したコメントの節々から、J2地方クラブの今後を感じて頂ければ幸いである。

■CBの穴が大きかった昨シーズンを踏まえ今シーズンへ

――まずは昨シーズン、トップチームのJ2・20チーム中15位(10勝14分14敗・勝ち点44)という結果をどのように受け止めていますか?

亀井社長「結果だけ見れば残念なものに終わりました。が、昨シーズンはけが人が多かったことや、バルバリッチ監督もあいさつで言っていたように若干レフリーのジャッジングについて不利な部分もあったこともありましたし、J2昇格から6シーズンたって、チームの力自体は一年一年レベルアップしています。
 ただ、今後はその力を安定して発揮できるかが課題ですし、それがないと上位には入れません。昨シーズンも前半戦は齋藤(学)くんが活躍してくれたことでいい位置をキープできた(19試合終了時点で8勝3分8敗・勝ち点27の暫定8位)んですが、彼がけが(足首痛)をしたら順位が落ちてしまった。それはチームの問題もあるし、選手のモチベーションの問題もありますが、安定した戦いが一年通じてできないことは課題でしたね」

――社長の目から見て安定した戦いができなかった理由はどこにあると思いますか?
亀井社長「どうでしょう。僕は試合を見る立場ですが、その中で感じたのは大事に行こうとしてチャレンジする気持ちに欠けていたこと。そこで失敗してもいいから思い切りが必要だったと思います。今日、スポンサーさんからのあいさつにもあったように、得点チャンスがある方がサッカーを見ている側は面白い。いかに守るかより、いかに攻めるかをもっと考えるべきでしたね」

――2010年シーズンは19チーム中11位ですから順位も下がり、シーズン目標だった「8位以内」も達成できませんでした。この要因はどのようにとらえていますか?
亀井社長「補強の問題は今振り返ればあったと考えています。いい選手、具体的にあげればアライール(京都、今季から愛媛復帰)、小原章吾(福岡)といった本来残るはずだった選手を他チームに取られたことで、戦力の計算ができませんでした」

――ということは、2人が残ること前提で昨シーズンは戦力補強を進めていたわけですか?
亀井社長「そうです。彼らからも一昨年12月中旬のシーズン報告会時点ではある程度残留の意向を受けていたのですが、それが年末になるとバタバタとしてまって……。J1下位・J2上位のチームが取れる選手がなくなったところで、ウチの選手に声を掛けてきた。ここは正直、予想できなかった部分です」

――となると今シーズンは必要な選手を確保した上で、新たな選手を補強したわけですね?
亀井社長「今季の補強は監督にも安心してもらうべく、早い時期から手をつけました。そこは強化担当(児玉雄一ディレクター)もよく動いてくれたと思います。ポイントはセンターラインの充実と、サイドについては若くて走れる選手を中心に試合をしていくことを意識しました。ウチはそんなに大きな選手が獲得できるわけではないので、パスサッカーを中心に切り込んでいくイメージを持っています。