北京市朝陽区内で9日午後6時半ごろ、乗用車を運転していた男が、路上にいた身体障害者が「のろのろしている」と腹を立て、下車して殴ったことが分かった。障害者は目のまわりが腫れるなどで病院で治療を受けた。警察は、殴った男の身柄を拘束して、取り調べを続けている。中国新聞社が報じた。

 殴られた男性は左足に障害があり、10年ほど前に北京に来てからは、廃品回収などで生計を立てている。9日6時半ごろは朝陽区内の道路を通行していたが、車いすが故障してうまく動かなくなった。

 殴られた男性によると、しばらくすると後ろにアウディ1台がやって来て、クラクションを鳴らし続けた。左足が悪いので、ゆっくりとしか移動できなかった。アウディを運転していた男は窓を開けて、口汚くののしりはじめた。腹が立ったので言い返すと、男は車を降りてきて、いきなり殴ったという。

 男はののしりながら、障害を持つ男性を殴り続けた。周囲に人々が集まってきて、警察に通報した。十数人はアウディを取り囲んで、逃げられないようにした。「どんな事情があるにせよ、体が不自由な人を殴るなんて、とんでもないことだ」などと、非難の声が上がったという。

 警察がやってくると、男はアウディのドアを閉めて立てこもった。車内には他に、女性1人が乗っていた。男が障害者を殴りつけたとき、女性は制止しようとしなかったという。

 殴られた男性は病院に運ばれ治療を受けた。アウディを運転していた男は、最終的に警察の要求を受け入れ、ドアを開けた。警察官2人がアウディに乗り込み、現場を離れた。

 男は北京市出身の会社員で27歳という。現在は警察が身柄を拘束して、取り調べを進めている。(編集担当:如月隼人)