「スポーツ紙がサッカーをジャーナルしない」という声をよく耳にする。実際に紙面を見ると、移籍話や監督批判などの記事ばかりが目につき、サッカーの内容についてもゴールシーンばかりで、サッカーの“質”に関して論じられている記事は滅多にない。果たしてサッカージャーナルにおいて、スポーツ紙はこのままでいいのか。また、スポーツ紙の記者が、サッカーに対してどのような考え方で取材をしているのか。編集部が匿名を条件に、「このままではいけない」と危機感を募らせる現職のサッカー担当記者に話を聞いた。

■現在のスポーツ紙のサッカー報道について
――現在のスポーツ紙のサッカー報道について、どのようにお考えですか?
「基本的に会社がサッカーに詳しい記者を育ててないですよね。理由はいろいろあるんですけど、野球とサッカーの違いがあって、野球には分析ものがあるんですよ。ただのハイライト原稿じゃなくて、勝負の分かれ目というのをしっかり書いている。数字も分かりやすいし、1球1球止まるから考える時間がある。そういう原稿が許されるんですよ。ただ、サッカーの特質性として、分かりやすいのはゴールなんですよね。ゴールシーンだけ書いておいて、選手のエピソードを加えれば、記事になってしまう。それで許されてしまうわけです。

試合のポイントがどこにあったとか、野球はそういう視点を持っているのですが、サッカーはそういう視点を持たずにずっと来てしまった感じがします。ゴールがなぜ生まれたのかという分析をして、プレーの機微みたいなものを報道することは求められていないんですよ。その辺は評論家に丸投げという感じですね。他の新聞社は分かりませんが、少なくともウチの社はサッカーのプロパーの記者はいないです。でも、野球はいるんですよ。だから、野球を見る目があるのでジャーナルできる。サッカーは記事として、ゴールシーンさえ書いておけば成立してしまう。サッカーを知らない記者が現場に立ったときにそれが一番楽なんですよ。スタイルとしてサッカーである必要がない。サッカーでも、陸上でも、水泳でも記事のスタイルは同じ。専門性を必要とされないわけです」

――野球とそれ以外のスポーツで分けられてしまっている。サッカーもそれ以外のスポーツに入れられているということですね。
「そうです。実際に試合を一記者がどう見るかというと、たとえば19時キックオフの試合だと原稿を書きながら試合を見ないといけないんですね。各社で異なりますが、大体早版の締めきりが試合終了直後という社が多いので、試合終了と同時に原稿を出さないといけないような感じなんです。90分間目を離さずに試合を見るという環境は、今のスポーツ紙にはないんですよ」

――そういう環境もジャーナルできない要因というわけですね。
「じっくり集中して試合を見ることができない。だから、ますますポイントとしてゴールシーンだけ書いておけばいいという感じになってしまう。キックオフからの試合経過などは書く必要がありません。90分通して見ることは評論家に任せます」

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