スタメン







 今季の欧州サッカーはマンチェスターの2チームが鮮烈な印象を残している。そして、スペインではやっぱりこのチームが次元の違うサッカーで、強烈な印象を世界に与えることに成功している。監督が変わらなくても、サッカーをいじくることで、マンネリ化を防いでいるというよりは、単純に進化し続けているってことだろうか。恐るべき監督である。



 バルサのシステムは3-4-3。グアルディオラ曰く、本職のCBがアビダルしかいないんだから、こうするしかないっしょ。他に手はないもん。だそうです。確かに、プジョルとピケが負傷で、ついでにアウベスとマクスウェルまでいなければ、3バックでやるしかない。



 ビジャレアルはカソルラをマラガへ放出。CLの出場権を獲得できたので、もうちょっと補強をしたいところ。自分たちのサッカーを守る上でも、スタメンクラスの補強は必須。カソルラマネーで誰を獲得するかも非常に興味深い。ビジャレアルが好みそうな選手は地味にバレンシアに流れているんだよな。



 ■バルサ式3-4-3



 序盤から、バルサは自分たちのペースでボールを繋いでいった。ビジャレアルはバルサが4-3-3で来ると考えていたようで、4-2-3-1で挑む。なので、相手が常に3バックでボールを動かし、いつもと違う仕組みを見せてきたので、かなりあれあれという感じであった。つまり、本当に苦肉の策だったのかはわからないが、バルサの3-4-3になかなかプレスをはめられないビジャレアルであった。





サイドの数的有利







 日本代表が3-4-3にチャレンジしているときに、3-4-3は3バックのCBの攻撃参加が重要になると書いた記憶がある。当然のように、バルサはマスチェラーノとアビダルがどんどん運ぶドリブルで攻撃参加してくので、守備が得意でないニウマールとカニがいじめられるような形になる。通称サイドに3人集めよう作戦。



 だったら、ビジャレアルも3人集めればいいんだけど、誰を??という話。試合中にそういう判断をするのは困難だし、中央の選手がヘルプに行けば、逆サイドの選手があいてしまうし、中央のセスクやメッシにスペースを与えることになってしまう。だったら、自陣にひきこもればいいのだけど、なるべく高い位置で勝負したいビジャレアルはそれもやらなかった。なので、バルサの餌食となる。



 

鳥かご







 バルサのボール運びで特徴的なのがこのような動きである。3対1の鳥かごで、ボールを受けた選手がリターンパスしてポジションチェンジする。このようにスペースを作って、埋める作業を繰り返すことで、相手の守備陣形をイレギュラーな状態にしていく。サイドでのポジションションチェンジにメッシやセスクが加わることもある。



 そして、中央のメッシとセスク。今まではメッシが中央のスペースを独占していたが、セスクとシェアする形である。これがセスクシステムと呼ばれる形なのかは知らない。このコンビは単純にポジションチェンジをするのではなく、役割を交代することによって、相手の裏狙いとバイタルで活動を変更していた。もちろん、このコンビが両方ともに裏を狙ったり、共に中盤に降りていくこともあった。



 3-4-3で特徴的だった役割がWGである。ペドロとサンチェス。このコンビは相手を横に広げる役割であった。いつもはSBがその役割なんだけど、今日はSBがいないので、WGがその役割をする。

 

サイドの攻防







 サポートをするのはチアゴとイニエスタ。ときどき、セスクとメッシ。非常にバランスが良い。アウベスに任せるとか、セルヒオ・ラモスに一任します!!って形ではないので、両サイドから効果的に攻撃が仕掛けられる。ただし、今までの中央に侵入する動きは許されていないようで、サイドから特攻!が非常に多かった。なので、サンチェスはフィーバーしそうだけど、ビジャやペドロは苦労しそうである。



 WGがサイドにいることで相手を横に広げる→では、誰がその空いたスペースを使うのか。



 

点を取る人







 最初にバルサの並びをみたときに、中央が渋滞するかなと思ったが、このカルテットが相互に飛び出すことで、その渋滞は起きなかった。基本的には、セスクとメッシが相手の裏に飛び込んでいき、彼らがどこかへ移動しているときに初めて、チアゴやイニエスタの出番が来る。この形を継続するならば、たぶん、WGの選手は得点に絡む形が少なくなる。



 今回はこんなところ。そして、途中で記した鳥かごのポジションチェンジの亜種だけど、こんな形も非常に多い。そんな特別な形ではないのだけど。



 

三人目







 問題としては、WGが中央に侵入したときにサイドのスペースを埋める選手がいないこと。大差がついてから、マスチェラーノが攻撃参加していたけど、もしかしたら、未来にこういう形になるかもしれない。



 

広島







 ケイタをDFラインにいれて、4バックを形成し、3バックのCBをSBとして振舞わせる。まさにサンフレッチェ広島。ケイタが中盤の底で起用されている理由はCBとしても振る舞えるという理由が大きいのかもしれない。確かにマスチェラーノやブスケツもCBができるけれど、本職のCBという意味ではケイタがフィジカル的に優っている。



 今回のバルサはイレギュラーだったらしいので、3-4-3を継続するかはわからないが、なかなか面白い試みであった。また、微妙に広島の匂いを感じ取れたのが、以前に広島のサッカーは世界とつながっていると感じたことの根拠なんだろうと。



 1点目はチアゴの個人技。シュートを打つまでに状態を起こしてシュートを打たない空気を相手に感じさせた時点で勝利。2点目はメッシが中盤で浮いて、セスクの裏への飛び出しが炸裂。3点目は3人目の関係でチアゴのスルーパスからのサンチェスの飛び出し。4点目はセスクとイニエスタのパス交換でスペースを作って、そこにメッシが飛び込む。地味にペドロが中央に入りたそうになったけど、我慢してスペースを作った動作が巧。5点目はショートカウンターから。



 そんなわけで、バルサが大勝でした。



 ■独り言



 昨年はそんなにバルサとレアルを追いかけた記憶がない。どうやら、2強が半端ないようで、試合をただ追いかけていても、意味が無いように感じた。というわけで、シーズンが終わる頃にはバルサで本が書けるくらいにバルサを研究するというテーマで追いかけてみようかと。レアルをどのように追いかけるかは決めていない。



 ビジャレアルは以前に比べると、選手の質が地味に低下している。それが、ボールを繋ぐチームには命取り。ピレスがいたころはバルサとやりあってもポゼッション勝負で負けなかったもんね。バレーロ、ブルーノ、そして前線には逸材がいるし、ムサッキオ、ワカソと面白い若手もいるので、誰か補強してCLでシティをびっくりさせて欲しいところである。