サッカーにおけるゴールシーンのように、野球観戦に行ってホームランが見られないと、何となく「損をした!」という気分になる。野球初心者なら、なおさら。そういう意味では、今季は “損な”試合が増えている。
「バッターはかなり苦労するんじゃないかなあ。芯でとらえたら、いままでどおりに飛んでいくんだけど、打ち損じた打球がホームランというのはずいぶん減ると思う」
 今年2月、春季キャンプを訪れると、ソフトバンク・小久保選手はそんな話をしてくれた。ホームラン王にも輝いた実績を持つスラッガーが予言したとおり、各打者とも今季から導入された統一球に苦戦しているようだ。セ・パ両リーグともに、防御率1点台の投手が続出。投高打低は、あきらかだ。

 だが、統一球による影響は、選手たちだけにもたらされているわけではない。僕ら観客も、大いにその影響を受けている。野球の華とも言えるホームランが、以前よりも貴重な存在になりつつあるのだ。ちなみに、僕はここまで3試合を観戦したが、ホームランはわずか1本しか見ていない。比較的ホームランが出やすいと言われる東京ドームでも2試合観戦したが、打球がスタンドまで届くシーンは、ついに一度も目にすることができなかったのだ。

 野球好きの人間にとっては、ホームランが減ったところで野球の持つ魅力が損なわれることはないし、むしろ大味な試合が減って、よりスリリングな展開が楽しめるようになったと感じる人もいるかもしれない。ただ、あまり野球に詳しくない人にとっては、どうだろう。やはりホームランが見た目にインパクトのある「わかりやすい」面白さであることを考えると、初めて球場に足を運んだ人が「ああ、楽しかった!」と目を輝かせることは難しくなったと考えるべきなのかもしれない。

 さあ、世の男子たちよ。野球場は、デートの舞台でもある。このままでは、せっかく女の子を野球観戦に誘っても、「野球って、あんまり面白くない」と言われてしまいかねない。せっかくの好ゲームも、ホームランが出なかったばっかりに「つまらなかった」と斬りすてられてしまう。早急に、ホームランに代わる“見所”を提案しなくては!

 えっ、じゃあ僕ならどんな見所をオススメするのかって? ここでは長くなってしまいそうなので、また次回に!

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