「カズはやっぱキングだわ!」 神ゴールに驚嘆と称賛の声続々
キング・カズことJリーガーの三浦知良選手(44)が、日本代表相手のチャリティーマッチで劇的なゴールを見せ、驚嘆の声が上がっている。本人は年齢の壁に悩んでいたようだが、それでも「あきらめない」メッセージを人々に送り届けた。
田中マルクス闘莉王選手が、得意のヘディングでボールを前に落とす。すると、FWの三浦知良選手は、素早い反応でキーパーをかわし、右足の蹴りでボールをゴールの右隅に放り込んだ。
年齢の壁にも「あきらめない」
大阪で2011年3月29日にあった試合で、後半37分にJリーグ選抜チームが1点を返した瞬間だ。そのまま三浦選手がゴール裏でトレードマークの「カズ・ダンス」を披露すると、スタンドから大歓声が沸き起こった。
試合は、前半に2得点を上げた日本代表チームが勝った。しかし、三浦選手は、後半17分からの途中出場でも結果を残した。親子ほども年の離れた若い選手らを向こうに回して、元日本代表の意地を見せた形だ。
年齢を感じさせないプレーに、ネット上でも、称賛の声が相次いでいる。
「ダッシュはええ今何歳だよwww」「反応できてる、難しいゴールだぜ」「カズはやっぱキングだわ」…
Jリーグの最年長記録を更新し続けているが、所属の横浜FCでは、2010年は出番が少なかった。プロ入り最小となる10試合に留まり、しかも途中出場ばかりだった。本人も、チャリティーマッチ後のインタビューで、どこに行っても年齢のことを言われると苦しい胸の内を吐露した。
それでも、2部リーグのJ2からただ1人選抜され、震災で苦しんでいる人たちもあきらめてほしくないとの思いでピッチに立ったという。そして、見事に結果を残し、インタビューでは、そのメッセージが「きっと届いた」と喜んだ。
サッカージャーナリストの後藤健生さんによると、三浦選手のゴールは、これまでの経験が生きた、すごい技術のものだったという。
「日本に明るさを」とカズ・ダンス披露
「ショートバウンドが上がったところを右足で叩くのが、あの人はうまいんですよ。だから、これまでたくさん点を取ってきたんですね。こぼれ球や不規則なバウンドでも、うまく足に当てられるのは、天性と練習の賜物でしょう。昨年は試合に出てくると調子がよく、最後の5分でもあきらめずにシュートを狙っていました。後半も点数が取れず『ここで何とかしてくれ』というときにやれるのは、『やはり特別な人なんだな』と改めて思いましたね」
三浦知良選手の引退がいつになるのかも話題になっているが、後藤健生さんはこう言う。
「昨シーズンも点を取っていますし、今年も練習などで次々にいいゴールを決めています。ですから、J2のレベルなら十分にまだやっていけるでしょう。あれだけの名声や稼ぎがあるのに引退しないのは、それだけサッカーが好きなんでしょうね」
また、カズ・ダンスも、絵になるところがすごいという。「恥ずかしがったり、ためらったりしたらダメになるところが、ゴール裏まで行ってできるところが素晴らしいですね」
ただ、三浦選手本人は、ゴールを誓いながらも、苦しんでいる被災者がいる中で、歓喜のカズ・ダンスを披露するか悩んだという。
三浦選手は、試合前の2011年3月25日、日経新聞のコラム「生きるための明るさを」でその思いを打ち明けている。
コラムでは、震災を前にしてサッカーの無力感を告白。医者や食料など必要なものに優先順位を付ければ、「なくていいもの」に見えたという。しかし、懸命に生きる被災者の姿から逆に勇気をもらい、明るくないと生きていけないと思い直した。
試合後のインタビューでは、カズ・ダンスについて聞かれると、「ダンスも期待されているんで応えました。微力ながら、日本を明るくすることができればいいかな」と答えている。
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