南アフリカ・ワールドカップで準決勝進出を果たし、喜びに沸いているスペイン。だが、一人のストライカーが得点王争いのトップに立つ一方で、もう一人のストライカーはパーティーに加われず、悲しい表情を見せている。ダビド・ビジャがボールに触れるたびにゴールを奪っているのに対し、フェルナンド・トーレスは一面を飾る瞬間を追い求め続けているのだ。スペイン代表の武器の一つとなるはずだったF・トーレスは、問題となってしまっている。彼がピッチを後にし、セスク・ファブレガスやフェルナンド・ジョレンテ、ペドロらが出場すると、スペインはスイッチが入るのだ。

半月板を手術したF・トーレスは、大会に向けて復帰を急いできた。最後のテストマッチとなったポーランドとの親善試合でゲームに復帰した彼は、大量得点(6ゴール)の輪に加わったものの、そこからはゴールを奪えていない。そして今、EURO08決勝のリベンジを目指すドイツとの準決勝が迫る中、スペインでは彼を起用し続けるべきかどうかが問題となっている。

スペイン代表のビセンテ・デル・ボスケ監督は、「トーレスは我々のFW、我々の基点となり続ける。我々は彼を全面的に信頼しているよ」と、F・トーレスを擁護した上で、「ただそれは、ドイツ戦でもスタメンが確実という意味ではない」ともつけ加えた。

トーレスの復帰によって、ビジャはサイドへ回り、EURO優勝の立役者の一人であるダビド・シルバはベンチに置かれることとなった。デル・ボスケ監督は「シルバにチャンスを与えられなかったことは残念だ。2人のGKも含め、ほかの出場していない選手たちも同じようにね。試合が終わるたびに、私はそのことを考えているよ。ただ、成功を収めることができれば、それは23人全員による成功だよ」とコメントしている。

一方、デル・ボスケ監督はドイツについて、次のように話している。

「彼らがリベンジを考えているとは思わない。選手たちは過去ではなく、未来を見るものだ。ドイツは我々と同じように、ファイナルに進むためだけに勝ちたいと願っているはずだよ。彼らは2年前から継続的に成長している。それに、ドイツはすべての大会でいつもうまくやってきた。非常にハードなライバルだよ」