南アフリカ・ワールドカップで準々決勝進出を決めたスペイン代表。彼らは初戦のスイス戦での敗北をすでに忘れている。『マルカ』は一面で「これが私のスペインだ」と、決勝トーナメント1回戦のポルトガル戦での勝利を報じた。

ベスト8で対戦するパラグアイは、大きな相手ではない。2年前のEUROで苦しみながらもイタリアをPK戦の末に下し、その後優勝を果たしたことで、ベスト8の呪いももはや恐怖とはなっていない。サンチャゴ・ベルナベウの前にある大型スクリーンに集まる人の数は、試合ごとに増えており、あちこちで旗がなびき、ブブゼラが鳴らされ、赤のユニフォームが見られるようになっている。

スペインのメディアも優勝の夢に向けて勢いを増している。『エル・パイース』は「スペインが夢を見始めた」と報じ、『エル・ムンド』は「(ダビド・)ビジャがスペインの夢を飛びたたせる」と伝えた。バルセロナの『ムンド・デポルティボ』は、新たにバルサが獲得したビジャを「天才だ!」と絶賛。『ムンド』は、ビジャのゴールシーンで選手たちがビジャに乗っかっている写真を掲載し、「スペイン全体がビジャの上に」と報じている。

スペイン全体で人が集まり、喜ぶ姿が見られるが、バルセロナだけはそうではない。バルセロナ市長はリクエストがあったにもかかわらず、スペインを応援するために集まるべく、大型スクリーンを設置するのは適切ではないと考えているのだ。人々は2年前、スペインのEURO優勝を祝うために広場に集まった。多くが今回のW杯でのスペインを見ようと求めている。だが、市長は譲らなかった。

ビセンテ・デル・ボスケ監督が招集した23選手のうち、バルセロナからは8人も選出されている。そこには、スペインが挙げた5ゴールのうち4ゴールを記録しているビジャも含まれている。しかも、もう一つのゴールを決めたのもバルサMFアンドレス・イニエスタだ。だが、政治は政治ということか。カタルーニャはスペインから遠いと感じており、さらに遠ざかることを望んでいるようだ。