日本経団連は、「観光立国を担う人材の育成に向けて〜産学官の連携強化を〜」を発表した。大きな経済波及効果と雇用吸収力を持つ観光産業の成長戦略の第一弾として、特に、地域の観光振興策を立案・実施する人材と観光業に携わる人材に焦点を当て、それぞれの育成と活用方策について検討している。

 観光分野における人材育成の現状と課題として、?求められる人材の多様化?人材需給のミスマッチを挙げており、人材育成・活用策として、次の通り提言している。

(1) 地域の観光振興策を立案・実施する人材の育成
?地域の専門家を育てる教育の拡充?自治体等によるインターンシップの拡充?観光専門職(仮称)の創設?地域における人材交流?人材バンクの創設?通訳案内士制度の改善?在外公館等の活用

(2) 観光業に携わる人材の育成
?企業の経営・実務人材を育てる教育の拡充?観光学部・学科と業界の協力?企業インターンシップの拡充?企業におけるOJT、Off−JTの充実?アジア人留学生の活用

 観光系学部・学科を設置している大学は近年急増し、定員数は、1992年度の240人(2学部3学科)から、2009年4月現在では4402人(39学部43学科)へと約20倍に拡大しているが、その卒業生の進路を見ると、観光関係分野(旅行業、宿泊業、航空業、旅客鉄道、観光施設、観光関連公益法人、地方自治体)への就職は約23%にとどまっている。

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