先週末から今週にかけて、立て続けにU−20日本代表の遠征チームが発表された。7月31日から8月7日にかけて韓国の水原で、8月14日からはスペインでアルクディア国際トーナメントに参加するという。

このチームは2012年のロンドン五輪を目指すチームだけど、昨年のAFCアジアユース選手権は準々決勝で敗れ、今年エジプトで行われるU−20W杯への出場権を逃している。つまり現時点では具体的な目標を失っているわけだ。でも、そこでどんな強化指針を持って取り組んでいくか、協会がしっかりとしたビジョンを持ってやっていかなければならないのだけど、協会の指針のなさが、実はスタッフ人事を見ていてもよくわかる。

2つの大会のメンバー表を見ると、それぞれスタッフが違う。韓国へ行くチームは、岡田武史監督を筆頭に、コーチが大木武、大熊清、小倉勉、加藤好男と、完全にA代表スタッフで固めている。一方のスペイン遠征チームは、総監督が岡田で、監督に西村昭宏、コーチは相馬直樹と慶越雄二となっている。

はて、このチームの監督は、コーチは、いったい誰なんだ? 西村監督はどういうスタンスで仕事をするのかな? これは、実に新しくておもしろい試みだね。どういう意図でこういう編制になっているのか、まったく理解できないけれど、なんだか協会内の仲間内で好き放題回しているだけ、というような印象を拭えないね。その時期ヒマな人、手を挙げてってな感じだよ。

仮に大会で内容的にもボロ負けしたとしても、責任は誰が取るんだろう。その所在もはっきりさせていないよね。 こんな状態では、国際大会に参加することに意義がある、経験になるといった大義名分を掲げて、まさに、参加するだけで終わってしまう気がするよ。そこに果たして意味があるのかな?

こうなったら、A代表も同じようにすればいいのにな。遠征や大会を、それぞれ違うスタッフで行って、一番結果を出したスタッフ陣でW杯に出るんだ。そしたらW杯の監督は誰になるだろうね。まったく、これが冗談になっていないのがつらいところだよ。(了)


セルジオ越後 (サッカー解説者) 

18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中