「上海総合指数の下落はまだ始まったばかり」。

 現地の証券会社のアナリストたちは、中国株の今後の株価を、そう予想している。

 そもそも上海総合指数は2006年まで1000ポイント台を推移していた。ところが2005年に、会社法、証券法などが改正されてからは、いっきに6000ポイントまで上昇。銘柄によっては1年で4倍以上に資産が膨らんだ。株式市場を活性化させるための会社法、証券法政策は成功したといえる。

 しかし、今度は抑制の仕方を知らなかった。過剰なまでに上昇しすぎた株価を下げるため、引き締め政策を打ち出したが効果はなかった。全人代で何か政策を掲げ、それによって株価が上がることを投資家は狙っていたからだ。確かに昨年は農業政策を打ち出し、農業関連銘柄だけが急騰した。

 ところが今年の全国人民代表大会(全人代)は、いつもの期待とはちょっと違っていた。胡錦濤は貧富の格差や中国経済の成長のひずみに対しての問題点を認め謝罪会見をしたにすぎなかった。株価はここに来て、3500ポイントの水準まで下落している。

 原因は以下のとおりである。

1)米国サブプライムローンの影響
 輸出に依存している中国の製造業が、輸出減少により業績悪化している。米国経済が世界に与える影響によって、中国経済にも今後さらなる悪影響が懸念される。

 すでに国際経済の中に主要な位置として組み込まれた中国は、もはや政策によってコントロールできる「社会主義市場経済」という独特の手法だけでは運営が不可能となった。だからといって完全な成熟した市場経済に移行できているわけではない矛盾した難しい時期であることを、政府は全人代において認め、経済をコントロールできない苦悩をにじませた。


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