外国資本の流入などで選手の多国籍化が進むプレミアリーグ。イングランド屈指の名門リバプールでも、ラファエル・ベニテス監督の母国スペインを中心に、各国の代表選手が顔を揃えている。21日に行なわれたアストン・ビラ戦では、スタメン出場したイングランド人選手がMFスティーブン・ジェラードとDFジェイミー・キャラガーのわずか2人だけという状況だ。しかしながら、クラブの伝統を重んじるベニテス監督は、ピッチ上で交わされる言語を英語のみに限定。その他の言葉を話す選手には罰金を課しているという。

 今シーズンからリバプールでプレーするFWフェルナンド・トーレスは、ベニテス監督がチーム内でのコミュニケーションを英語に限定していると告白。スペイン語を話すと罰金を課される環境に最初は戸惑ったというトーレスだが、今では英語漬けの生活にも慣れたようだ。

「リバプールにはスペイン語を話す選手が12人くらいいるんだ。でも、スペイン語は使わないようにしているよ。だって監督に見つかったら罰金を払わないといけないからね。監督はスペイン人の選手にも英語で話している。よっぽど理解出来ない場合はスペイン語で話してくれる時もあるけど、それはあくまで例外だ。はじめの頃は凄く辛かった。でも毎日のことだから慣れてきたよ」

 就任3年でチャンピオンズ・リーグとFAカップのタイトルを獲得しているベニテス。オーナーとの確執から退団も噂されているが、サポーターからは残留を望む声が多い。イングランドの名門で指揮執る意味を深く理解する知将は、同胞の選手にも甘えを許さない姿勢で厚い信頼を得ているようだ。