この夏、バルセロナは6800万ユーロ(約109億円)という巨額を投じ、大型補強を行った。昨シーズンの失敗を活かし、失望を払拭するべく的確な選手補強に成功したバルサは、ファンや周囲の期待を独り占めにしていたといっても過言ではない。しかし、いざシーズンが開幕してみると一変。そこには昨シーズンと変わらないバルサの姿があった。当然といえば当然だが、ライカールト監督の手腕に対し疑問の声が上がり始めている。

 開幕からの3節で1勝2分。ラシン戦に続いてオサスナ戦でもノーゴール。今シーズンも“アウェイで勝てない病”がチームに蔓延している。そして、エトーが負傷による戦線離脱中とはいえ、ロナウジーニョ、メッシ、アンリと世界屈指の攻撃陣を擁するバルサのアウェイでのノーゴールもいただけない。ボールはキープするものの、攻撃的チャンスが作れないという昨シーズンと変わらないプレーにファンのフラストレーションは溜まる一方だ。

 同じ問題を抱え続けるバルサが未だに解決策を見いだせないというのは、ライカールト監督の問題であるところが大きい。選手層ではプラスとなっているはずだが、ライカールト監督はその豊富なタレントを活かしきれていないというのが現状だ。

 そして、カタルーニャの地元TV局“TV3”のニュース番組は、ラポルタ会長がライカールト監督に最後通牒を突きつけたと伝えている。「ベンチの才能を活かし、チームとして機能させ、バルサとして相応しい結果を出せ」ということなのだろう。同番組によると、タイムリミットは10月7日になっているという。つまり、その日にカンプ・ノウで行われるアトレティコ・マドリー戦までの試合、19日のオリンピック・リヨン戦(CL)、22日のセビージャ戦(リーガ)、26日のサラゴサ戦(リーガ)、30日のレバンテ戦(リーガ)、10月2日のシュツットガルト戦(CL)でライカールト監督の真価が問われるというわけだ。

 ライカールト監督が7日までにクラブ、ファンを納得させる内容、結果を出せないようなら、一気に解任へと話が進むこともあり得る。思い切った打開策を練る必要があるライカールト監督とってはまさに正念場となる。

(スペイン通信)