トップ10には製造業と生保が目立つ

写真拡大 (全5枚)


「日本法人の従業員が多い」外資系企業1位は日産自動車。写真は取締役会長のカルロス・ゴーン氏(撮影:尾形文繁)

2019年新卒の就職活動が本格化している。売り手市場が続いていることもあり、航空会社や総合商社など日系大手企業へ志望する学生は依然として多い。しかし、東大・京大生に限るとどうだろうか。

就活サイト『ONE CAREER』が東大・京大生対象に行った調査によると、東大・京大生の就職人気の上位10社のうち、6社を外資系コンサルティング企業が占めた(2018年2月23日時点)。コンサル業界以外でも、外資系企業の就職人気は根強いものがある。

日本でビジネス展開する外資系企業の進出形態は多様だ。親となる外国会社が日本市場進出の足がかりとして駐在員事務所や支店を開設するケース、また日本企業と合弁で日本法人を設立、あるいは単独で日本法人を設立するケース、さらには日本企業を買収あるいは日本企業と資本提携し出資先企業を日本市場でのビジネス展開の拠点とするケースなどもある。


東洋経済新報社『外資系企業総覧』では、外国法人・個人の出資割合(外資比率)がおおむね20パーセント以上の会社と外国会社の駐在員事務所や支店を「日本で活動する外資系企業」(以下、「外資系企業」という)として毎年調査した内容を掲載している。

本稿では、2017年版掲載企業3175社中、従業員数を把握できた外資系企業について、多い順に100位のランキングを発表する。調査時点は2017年3月だが、実際の集計時点が異なる会社があることにご注意して見ていただきたい。

首位は2万2200人超の日産自動車

1位は日産自動車の2万2209人。現在、日産が仏ルノーとの資本関係の見直しを検討しているという報道が世間を賑わせているが、これによって日産に外国資本が入っていることを再認識した方も少なくないと思う。

2位は協栄生命が前身で米国プルデンシャル・ファイナンシャル社傘下のジブラルタ生命保険、3位は台湾のホンハイ(鴻海)グループ傘下に入ったシャープである。4位はドイツのダイムラー社が9割近い株式を保有する三菱ふそうトラック・バス、5位は米国メットライフ社日本法人のメットライフ生命保険だ。

トップ5位は、自動車やトラックなどの輸送機器や電機機器のメーカーと保険会社が占めた。

トップ10位まで見ると、6位が会員制倉庫型ディスカウントストアを展開する米国コストコ・グループの日本法人、8位が多国籍・総合コンサルティング大手のアクセンチュア社日本法人、10位は株式の3割以上を米国アルタバ社(旧ヤフー社)が保有する、インターネットポータルサイト等を展開するヤフーといったように、製造業や保険会社以外の業種に属する会社もランキングの上位に入っている。

11位以下には製薬企業が多く名を連ねた。米国ファイザーの日本法人、スイスのロシュ・グループの中外製薬、同ノバルティスファーマ社日本法人、米国メルク社傘下のMSDなどの製薬会社などだ。

非製造業では、米国系のプルデンシャル生命保険、アフラック(現アフラック生命保険)、および富士火災海上保険(現AIG損害保険)、カナダ系のマニュライフ生命保険などの生命保険・損害保険会社が上位に並ぶ。人口が1億人超で乗用車普及率が世界平均の3.8倍(日本自動車工業会調べ)の日本は外国保険会社にとっては依然として魅力的な市場なのだろう。

成長著しいIT関連の外資系企業の従業員数ランキングを見てみると、ヤフー以下では40位に日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(インド)、44位に日本オラクル(米国)にランキングされ、日本マイクロソフト(米国)は51位だ。韓国のNAVER社の日本法人で無料通話・無料メールアプリのLINEは87位となっている。

5年前の顔ぶれと比較すると?

トップ10について5年前の2012年版のランキングと比較すると、1位の日産と2位のジブラルタ生命は従業員数を減らしたものの順位は不動。2012年の3位はドイツ・フォルクスワーゲン社と資本提携していたスズキだったが、提携解消で非外資系企業となった後、鴻海傘下となったシャープが同位にランクインした格好だ。

一方、2012年に12位のコストコホールセールジャパンと14位のアクセンチュアがそれぞれ従業員を3000人増やし、それぞれ順位を6つ上げた。またネット事業を拡大したヤフーも1990人増やして、22位からトップ10入りしている。

従来から上位にあったメーカーや金融企業は、日本の人口減に伴い今後も経営のスリム化による従業員減は続くだろう。その一方で、日本の小売業界やライフスタイルの革新に寄与している外資系企業や、事業拡大を進めるIT関連の外資系企業は今後も日本で人員を増やすことが期待できる。

現在、2018年7月中旬の発売に向けて『外資系企業総覧2018』を調査・編集中であるが、次号の外資系企業の従業員ランキングでその変化をお伝えできるかもしれない。