木造の骨組みがそのまま外観のアクセントに。社交倶楽部だけあり、建物のデザインも優雅だ

写真拡大

1921(大正10)年に北九州・門司区の山手に建てられた「三井物産」の社交倶楽部「旧門司三井倶楽部」(北九州市門司区)。1995(平成7)年に港町に移築され、現在は門司港レトロ地区を代表する建物の一つとして観光客が多く訪れている。ハーフティンバー様式(木骨様式)と呼ばれるヨーロッパ伝統の木造建築工法が用いられた建物は、外から見ると3階建てに見えるが、中に入ると2階建てという一風変わった造りだ。

【写真を見る】立派な木製扉が目を引く1階のイベントホール。1階には観光コンシェルジュ受付も併設する

■ アインシュタイン博士が宿泊した大正モダン建築の館

1階には無料で見学できるイベントホール、ご当地グルメが楽しめるレストランがあるが、一番の見どころは2階。1922(大正11)年にアインシュタイン博士が九州大学で講演を行った際、5日間にわたり宿泊したことで有名で「メモリアルルーム」には、その当時の部屋が再現されている。大正時代は珍しかったベッド、欧州スタイルのワーキングデスク、バスルームなどレトロなインテリア造りに、アインシュタイン博士が門司港で過ごした日々が目の前に浮かんでくるようだ。

また、2階には門司出身の女流作家・林芙美子氏の資料室も併設。舞台で有名な「放浪記」の作者として知られる林芙美子氏の、門司での暮らしぶりや代表作の誕生エピソードなどを学ぶことができる。

■ 国の重要文化財指定の建物は豪華な装飾が目を引く

建物は国の重要文化財に指定され、保護されている。ドア枠、窓枠、階段の手すりなどに施されたアールデコ調の飾りが、シックで落ち着いた雰囲気を醸し、大正モダンを感じられるのが魅力。さらに、各部屋にはマントルピース(暖炉)が配置され、非常に贅沢な造りの建物だということが分かる。

[旧門司三井倶楽部]福岡県北九州市門司区港町7-1 / 093-321-4151(門司港レトロ総合インフォメーション) / 9:00〜17:00 / 無休※入場料 1階無料、2階大人100円、小・中学生50円

【九州ウォーカー編集部/取材・文・撮影=諌山力】(九州ウォーカー・諌山力)