米ネバダ州ラスベガスで、同市で起きた銃乱射事件の犠牲者を追悼するために手向けられた花束などを前に泣き崩れる女性(2017年10月3日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

写真拡大

【AFP=時事】ブルース・ユア(Bruce Ure)さんは、米ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)で1日夜に起きた銃乱射事件の現場で、重傷を負った3人を救出したものの、自分は英雄ではないと言い張り、その代わりに他の人々の行動を称賛する。

 テキサス(Texas)州シギーン(Seguin)警察の副署長であるユアさんは、カジノホテル「マンダレイ・ベイ(Mandalay Bay)」の向かいで行われていたカントリー音楽祭に参加するため、ラスベガスを訪れた。

 バックステージのVIPエリアにいた時、花火のような音が聞こえた。「あんな高い音は聞いたこともなかった。そして、地面にパンパンとはじける音がした。それでVIP席にいる自分たちが銃撃されていると分かった。地面が、人工芝が上下し始めたから」

 ユアさんらは命からがら走った。銃弾に跳ね飛ばされた破片が、半ズボンをはいていて露出した脚の後ろに当たった。

「つまり、犯人は私たちの真後ろから撃っていたということだ」。現場近くで取材に応じたユアさんは、自動小銃の1回の発砲ごとに少なくとも50発が発射されたと語った。

 警察によると、事件では元会計士のスティーブン・パドック(Stephen Paddock)容疑者(64)の銃撃により58人が死亡した。死者数はこれまで59人とされていたが、当局は後の発表で、死者のうち1人は同容疑者だったと明らかにしている。

 ユアさんは「私は黒い服を着ていたので命拾いしたのかもしれない」と語った。血の海となった現場で、ユアさんは右ももを撃ち抜かれた若い男性を見つけた。

■最後まで名前は聞かず

「彼が死にかけているのが分かった。私たちは彼をつかんで、引きずって通りを渡った」。ユアさんが男性の止血を試みていたとき、2人の女性が近づいてきた。1人は胸を撃たれ、別の1人は背中を撃たれていた。

 ユアさんは「3人を外傷センターに運ばなければいけなかった」ため、他の男性と通りがかりの車を止め、「あなたの車が必要だ」と叫んだ。

「それで血だらけの3人を車に乗せた。1人は大量に出血していた。この男性は全くちゅうちょしなかった。この日の英雄について語るなら、彼こそが英雄だ。こういった人たちがあちこちにいた」。警官として33年のキャリアを持つユアさんだが、声を震わせながら語った。

 病院に向かう途中、ユアさんは女性のうち1人の手を握って放さなかった。「みんな泣きながら、自分たちは死ぬんだ、もう死ぬんだと言っていた。彼女らに言ったことを今でも覚えている。『今夜じゃない、今夜じゃない。君は今夜死なない。大丈夫だ』と」

 3人は病院に到着し、一命をとりとめた。ユアさんは「彼らが無事なのは分かっているが、名前は知らない」と語った。
【翻訳編集】AFPBB News