サラリーマンが副業をした場合、確定申告は必要か

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サラリーマンが副業をして、その副業による収入があったら、金額によっては所得税の確定申告が必要になる場合がある。景気が上昇しつつあると聞いても、なかなか実感できない状況。副業で収入増を狙う人も多いだろうが、収入と税金とは切っても切れないのが常だ。「教えて!goo」では、「サラリーマンの副業確定申告について」というタイトルで質問が投稿されている。

■所得税の確定申告が必要なボーダーラインはどこにあるのか?

質問者は、講演等による副業収入が70万円程あり、源泉徴収後の金額が振り込まれていたことから、所得税の確定申告は必要ないと考えていたようだ。しかし、疑問を感じて税務署に問い合わせたところ、確定申告が必要であると指摘された。質問者自身は納得がいかない様子だが、実際はどうなのかと聞いている。

「情報が限られるため『正確な試算』は無理ですが…(中略)、『給与所得の源泉徴収票』の詳細な情報があれば、『試算』の精度はもう少し上がります。…(中略)『青色申告の承認』を受けられている場合は、『青色申告特別控除』が適用できます。『個人住民税』が別途かかりますが、『所得税』と異なり『課税所得にかかわらず税率10%』です。…(中略)間違いのないよう努めていますが、最終判断は各窓口に確認の上お願い致します」(Q_A_333さん)

「本業は年末調整済みですよね。それであれば、副業収入に税率を掛けた額から源泉徴収された額を引いた額が追加で納税する額です。…(中略)何かが間違っているんでしょうね。何が間違ってるかは、これだけの情報では分かりませんが」(makookwebさん)

「給与を1か所からもらっていて、他の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要とされています。所得税の税率は高くても20%でしょう。70万円は『源泉徴収票』が発行されていますか。通常、講演料は『雑所得』なので、源泉徴収票ではなく『支払調書』です。給与扱いで『源泉徴収票』が発行されることもあります。…(中略)また、給与扱いなら給与所得控除を引かれるので、これより少ないです」(ma-fujiさん)

回答を見てみると、質問者の70万円の副業収入は、所得税の確定申告をする必要があり、具体的な内容を教示する回答が多かった。

■所得税の確定申告が必要なボーダーラインは、20万円を超えること

さてここからは、元国税調査官で、副業収入の税務についても詳しい松嶋洋税理士にお話を伺ってみた。最初は所得税の確定申告が必要なケースについて。

「一般的な申告不要制度として理解されているのは、給与の他に小遣い的な収入があるこのケースです。年末調整の対象になる給与以外の所得が20万円以下であれば申告は原則として不要とされていますので、多くのサラリーマンはこれで申告不要とされます。しかし、年末調整の対象となる給与以外の所得が20万円を超えれば、この申告不要制度は適用されません。また、給与収入が2000万円を超える場合には、年末調整の対象にならないとされていますので、このようなサラリーマンも申告をしなければなりません。加えて、同族会社の役員等のうち、その同族会社から給与のほかに、不動産の賃貸料などの収入を得ている場合には、その同族会社からの収入についてはこの制度の対象外とされています。このため、わずかでも同族会社から不動産収入などがあれば、申告をしなければなりません」

所得金額が20万円以下であり、収入ではないことに注意すべきだ。以下・以上・未満・超えるという文言にも、注意を払う必要がある。他に確定申告が必要とされるケースについても伺ってみた。

「上記に加えて、公的年金等についても申告不要制度があります。具体的には、公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下で、公的年金等以外の所得金額が20万円以下であれば、申告が不要とされています」

国民年金の受給開始は65歳。定年退職後に、年金を受給しつつ副業を始めた方は要注意だ。

「申告しないのであれば、税金を納める必要もありませんが、反対に申告しないことで不利になるケースもあります。たとえば申告すれば還付金が戻ってくるケースです。実際に計算してみる必要がありますが、2ヵ所から公的年金等を受給している場合などは、実際に納めるべき税金以上に源泉徴収されている場合があります。このような場合、過大に徴収された源泉所得税は、確定申告をすることで還付されますが、申告しなければ還付金も戻って来ません。申告不要制度は申告しなくても問題ない、とされる制度ですので、申告することを選択することができますから、還付金が見込まれる場合などは、申告しましょう」

場合によっては、還付金を受け取れるケースもあるということがわかった。ただし、そのためには、確定申告が必要だということだ。付け加えると、還付金を受け取った場合、還付加算金(いわゆる利子に相当)も追加して貰える可能性もあるので、自分の状況を良く見極めてから判断するべきだろう。

「その他、申告不要制度は所得税という国税に関する制度です。このため、上記の要件を満たしたとしても、別途住民税の申告をする必要もありますので、注意が必要です」

まとめると、本業の他に20万円を超える所得がある場合には、必ず所得税の確定申告が必要となる。それに付随して住民税の申告も必要となるということに注意しなければならない。所得額によっては所得税と住民税の両方に注意が必要ということだ。

●専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋

東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供中。

ライター 与太郎

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