リニューアルのため、7月16日(日)から一時閉店する上野風月堂 本店

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「ゴーフル」などの菓子で知られる上野風月堂の本店が、創業270周年の節目に大きく姿を変える。7月16日(日)から一時閉店し、11月に新装オープンする予定だ。

【写真を見る】人気の洋食メニューを一皿で堪能できる「ビーフライス」(1296円)。ピラフの左がカレーソース、右がハヤシソース

1747年に創業した上野風月堂は、1905年(明治38年)に上野広小路に本店を構え、地元住民や観光客から親しまれてきた。今回のリニューアルは、現在の本社ビルが完成した1989年以来、最大の改装となる。

リニューアル後、1階の売店は“体験型ショップ”として、焼きたての「東京カステラ」や、新感覚の「ゴーフル」を販売。この新「ゴーフル」は、日持ちや包装の関係から、これまで贈答用では実現できなかったおいしさを、とことん追求するという。

上野風月堂と聞き、老舗のイメージから和菓子を連想する人も多いかもしれないが、現在は取り扱う商品の9割が洋菓子。伝統を大切にしながらも、時代に合わせて時には大胆に変化する。同社にはそんな社風があると、広報担当者は話す。

今まさに、大きな変革の時を迎えようとしている上野風月堂 本店。新たな風が吹き込まれるその一方で、本店2階の上野風月堂パーラーでは、名物メニューの数々が惜しまれながらも姿を消す。より幅広いシーンでの利用を目指し、グランドメニューが一新されるのだ。現在のメニューが食べられるのは、7月15日(土)が最終日となる。

終了する前にぜひ味わってほしいのが「ビーフライス」(1296円)。2013年に登場して以来、同店の名物として人気を博してきたこちらのメニュー、ただライスに牛肉を合わせた料理ではない。中央に盛られたピラフの左右に、カレーとハヤシソースが広がる。ピラフだけで食べてもよし、ソースをからめて食べてもよし。一皿で4通りの食べ方を楽しめる、洋食好きにはたまらない欲張りなメニューなのだ。

広報担当者は「カレーやハヤシライスは、最初はおいしくても徐々に飽きてしまうこともあると思います。そこで、最後まで飽きずに食べていただく工夫として、2種類のメニューを組み合わせるアイディアが生まれました」と、誕生のきっかけを語る。

スパイスの効いたピリ辛カレーと、トロトロの牛肉がふんだんに入った、コク深いハヤシソース。カレーの辛さをハヤシソースがマイルドにまとめ上げ、一度スプーンを入れたら最後、止まらなくなるおいしさだ。柔らかな牛ハラミ肉のステーキが入ったピラフは、これだけで食べても美味。男性が十分満足できるボリュームでありながら、女性からのオーダーが多いというのも頷ける。

上野ならではのパンダスイーツも見逃せない。「パンダパフェ」(972円)は、上から覗き込むと、バニラムースで作られた、つぶらな瞳のパンダと目が合う。より一層のかわいさを求め、改良を行ってきた自信作だ。

その横には、「ゴーフル」のウエハースが添えられているほか、下の層には「ゴーフル」のウエハースを砕いたクランチがたっぷり。コーンフレークとは違う、ザクザクッとした食感が楽しい。さらに、色鮮やかなフルーツも贅沢にトッピングされ、思わず写真に撮りたくなる、華やかなビジュアルだ。

店内の雰囲気と合わせてレトロな気分に浸りたい時は、パンダの焼印があしらわれた「ホットケーキ」(プレーン648円)がおすすめ。ふんわり柔らかなホットケーキは、一口食べた瞬間、思わず頬がゆるむ懐かしい味わい。パンダの焼印は職人が手作業で押しているため、1つ1つ濃さが微妙に異なるのもご愛嬌だ。

これらのパンダスイーツは、上野動物園にジャイアントパンダのリーリーとシンシンが来園した、2011年に誕生。今年6月に赤ちゃんが産まれたことで、再び人気を集めているという。リニューアル後、2階のレストランで同様のメニューが提供される可能性は低いが、1階の物販商品を含め、何かしらの形でパンダモチーフの商品は登場する予定とのこと。

「リニューアルを検討し始めた時に改めて感じたのは、地域の方や、長く支えてくださる方あってのお店だということ。その方たちへの感謝の気持ちを忘れずに、リニューアル後は今以上に、さまざまな世代の方に楽しんでいただけたら」と広報担当者。

常連客が来店した際は、好みに合わせて味付けの濃さを変えるなど、きめ細やかなサービスで愛され続けてきた同店。リニューアル後も、地域の人々に心地よく利用してほしいという思いはそのままに、より一層の進化を遂げる。

なお、7月15日(土)の最終営業日には、「復刻ゴーフルセット」(2160円)を100セット限定で販売するほか、上野風月堂パーラーでは、20年以上前に提供していた「仔牛のカツレツ チーズ風味」(2160円)を当時の味で再現し、10食限定で用意する。【ウォーカープラス編集部/水梨かおる】