後半は、抗争が行き過ぎて死人まで出る状態となってしまうので、前半のノリノリのケンカとのギャップに苦しむ人もいるかもしれないが、不良グループのリンチによる死亡事件なども当時ではよくあったことなので、不良を美化せずに描いているという部分では好感が持てる。また、島田の出で立ちや松本の舎弟っぽさ、静かな闘志を秘めていそうな趙のふるまいが、妙に当時の不良っぽさを出しているところも、この作品を面白くしている。他にも上岡龍太郎演じる小野のインテリヤクザぶりも見どころ。さらに、ストーリーの展開がケンカというわかりやすい描写で繰り返されるのも関西以外の地域に住む人にはありがたいかもしれない。

 というのもこの作品、関西出身の役者中心で構成されているためか、会話が映像作品用のわかりやすい発音ではなく、かなりネイティブなのだ。加えて会話中に、不良の間で交わされる専門用語やヤクザ者の専門用語も混ざるので、早口でまくしたてられると結構言葉がわかりにくいシーンがある。そういったわかりにくい言葉が飛んでも、新たなケンカに向かって話が進んでいることはなんとなくわかるので、視聴者側にあまり苦痛を与えない。これは結構助かる…。

(斎藤雅道=毎週土曜日に掲載)