ソフトバンク・古谷優人【写真:荒川祐史】

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ソフトバンクドラ2・古谷の際立つ投球、「バランスよく投げられた」

 176センチと小柄な体に秘める潜在能力を感じさせる。浮き上がるような球筋で、捕手のミットにボールが収まっていく。マウンド上で腕を振るのは、ソフトバンクのドラフト2位ルーキー・古谷優人投手。18歳の左腕のボールに、しばし目を奪われた。

 宮崎キャンプ最終クール2日目の26日。古谷はキャンプで2度目のブルペンに入った。立ち投げのみで37球。「体全体を使って投げること、バランス、リリースの時の力を入れるポイントを意識して投げました。前回と違ってバランスよく投げられた」。

 小さなテークバックから、大きく体を使うフォームから投じられるボールは、ブルペンで並ぶ他の若手投手と遜色ない。いや、それ以上かもしれない。北海道・江陵高時代にマークした最速154キロのストレートはダテじゃない。

 初めてのキャンプでは第3クールにウイルス性胃腸炎を患って、離脱。これを機に「食事だったり、体調管理を意識するようになった。野菜を多く食べたり、バランスのいい食事を心がけるようにしています」と、自身のコンディションにも一層、気を配るようになった。

ソフトバンクは昨年ドラフトで高校生NO1の評価

 キャンプではランニングや体幹、ウエートトレーニングなど、体作りが中心。それはここ数年の高卒新人と同様である。それでも、キャンプの1日1日が勉強の日々だ。「体も他の先輩に比べたら小さいですし、(試合で)チャートをやって(バックネットの)後ろから先輩たちのボールを見ると、140キロでも高校生とはボールの質が違います」とプロの世界を目の当たりにしている。

 ドラフト1位の田中正義投手に、多くの注目が集まる今キャンプ。だが、昨年のドラフトでソフトバンクは、この左腕を高校生でナンバーワン、そして、田中、ロッテの佐々木千隼の2人に次ぐ高い評価を与えていたという。

 15年のドラ1・松本裕樹、16年の高橋純平と未来のエース候補がいるソフトバンク。古谷の秘める潜在能力も底知れない。将来が楽しみな若手は、ここにもいる。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani