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外で音楽を楽しむためのプレーヤー としてすっかり一般的になったスマートフォン。iPhoneユーザーには、付属イヤホン「EarPods」をそのまま使っている人も多いのではないだろうか。もちろんその実力は侮るべきではないが、イヤホンによる音楽リスニングの醍醐味は、音質、装着スタイル、デザインなど、その日の気分や装いに合わせてイヤホンを「着替えられる」ところにもある。

とはいえ、高価すぎるイヤホンはちょっと手が出ないという人のために、「1万円台で手に入る海外ブランドのおすすめイヤホン」を5つセレクトしてみた。では早速、おすすめのモデルを紹介していこう。

○AKG「N20/N20U」

AKG(アーカーゲー)は、モーツァルトをはじめクラシック界の巨匠たちが活躍してきた音楽の都、オーストリア・ウィーンのオーディオブランド。マイクロホンやモニターヘッドホンなどの製品は、録音スタジオや放送局などで活躍するプロフェッショナルから絶大な支持を集めている。

そのAKGから、2015年にプレミアムライン「Nシリーズ」の第一弾として発売されたイヤホンが「N20」だ。特徴は艶のある滑らかな高音域と明るい中音域。ハウジングにアルミニウムを採用している効果は、解像度の高さや余韻のきめ細かさなどにも現れる。たとえば、クラシックでは生楽器の音色がとても鮮明だし、女性ボーカルは、実態がないはずの「声」に指先で触れているかのような質感が生々しく伝わってくる。兄弟機「N20U」は、ケーブルにマイク付きリモコンを搭載したモデル。リモコンのスイッチを切り替えることで、iPhoneでもAndroidスマートフォンでも使用可能だ。

○Shure「SE215 Special Edition」

アメリカのShure(シュア)は、BA型ドライバー搭載のコンシューマー向けイヤホンを早くから展開してきた。イヤホン・ファンの多くがリスペクトするブランドだ。Shureの伝統を支えてきた「SEシリーズ」に、ダイナミック型ドライバー搭載機として加わったイヤホンが「SE215」。そして、本機をベースに低音の厚みをさらに強化、鮮烈な「トランスルーセントブルー」を配色したモデルがこの「SE215 Special Edition」だ。

あらためてその音を聴くと、2012年に発売されたイヤホンなのに、ハイレゾなど最新の音楽ソースを抜群の安定感で再生できることに気づく。再生周波数帯域はスペック上40kHz未満でハイレゾ非対応だが、音の密度は圧倒的に濃く、パワーの押し引きのセンスが絶妙に良い。ロック・ポップス系と好相性を発揮するが、そのほかのジャンルも芯のエッセンスをつかまえて上手に解き放つ。ケーブルを着脱・交換して音質のカスタマイズも楽しめる。いろんな種類の交換用イヤーチップが付いてくるお得感も高い。

○ゼンハイザー「MOMENTUM In-Ear」

2015年に設立70周年を迎えたドイツの老舗ゼンハイザー。2012年に立ち上げたプレミアムシリーズが「MOMENTUM」で、同シリーズの高音質イヤホン「MOMENTUM In-Ear」がかなりお買い得だ。光沢感のあるハウジングはレッドとブラックの2色を展開。イヤホン部がとてもコンパクトなので、女性の音楽ファンもストレスなく装着できるはず。マイク付きリモコンの種類が異なる「iOS向け」と「Android向け」のモデルに分かれているので、店頭で試す場合は気にかけておきたい。

そのサウンドは中高域の粒立ちが鮮やかで、空間の広がりも豊か。クラシックは大編成のオーケストラも悠々と鳴らせるし、声楽系の楽曲は生命力にあふれる自然な声の再現性が魅力だ。かたや、低音域もタイトに引き締まっているので、ロックやジャズのアグレッシブな楽曲も聴き応えがある。上品なルックスなのに、良い意味で予想を裏切る力強さを兼ね備えているのだ。これ一台を持っていれば、どんなジャンルの音楽も気持ち良く聴ける安心の定番モデル。

○Beats by Dr. Dre「urbeats」

Beats by Dr. Dre(ビーツ バイ ドクター ドレ)は、イヤホン業界におけるファッションリーダー的なブランドだ。「b」のブランドロゴは、国内・海外を問わず、若者たちの耳元で存在感を放っている。その人気を支えているのは、コストパフォーマンスの高さ。中でも、手頃な値段で聴き応えのあるサウンドを楽しませてくれる、入門向けのイヤホンが本機だ。カラーバリエーションに新しく「ローズゴールド」が加わり、iPhone、iPadの現行カラーバリエーションを全てカバーした。

中低音域にガツンとしたインパクトを感じさせてくれる濃厚な音づくりは、現代的なアメリカンロックやポップス、ダンスミュージックとの相性が良い。一体感が高く、まとまりのある力強いサウンドはアウトドアでの音楽再生向きと言える。本機もまたイヤホン部がコンパクトなので、女性も身に着けやすい。ケーブルは少し固めだが、そのぶん絡みにくく、タフなので断線する心配も少ないのでは。

○ボーズ「SoundTrue Ultra in-ear headphones」

ノイズキャンセリング機能を搭載する「QuietComfort 20」をはじめ、数々のヒットイヤホンを連発してきたアメリカのボーズが、「ボーズ史上・最小」をうたって昨年の秋に発売したイヤホンが本機だ。実際にイヤホン部がとても小さくて軽いので、装着時の負担が少ない。魚の背ビレのようなサポーターが付いた独自のイヤーピース「StayHear Ultra Tip」が外耳のくぼみにきちんと収まるので、装着が安定する。耳栓タイプのカナル型イヤホンはちょっと苦手という方にも、ぜひ一度試してみてもらいたいイヤホンだ。本機もリモコン信号がiOS対応とAndroid対応で異なる2種類のモデルがある。

本体がコンパクトなぶん、パワーはそれなりかと思ったら大間違い。ストレートに響くサウンドを聴かせる。濃密な中音域がボーカルやメロディ楽器の色彩を鮮やかに再現する。低域は、量感が控えめながらも、リズムが正確で音像がシャープ。スピード感を持ち合わせているため力不足は感じないし、EDMやJ-POPにとてもよくマッチする。

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1万円台のイヤホンが果たしてお手ごろと言えるのか、いろいろな意見があると思うが、確かに言えることは、今回の5モデルはいずれもメーカー独自の開発思想に従って技術を注ぎ込んだ力作ぞろいであるということ。「イヤホンなんてどれも音は一緒でしょ?」という人も、良質なイヤホンに変えてみると、音質もさることながら、装着感の心地よさ、遮音性の高さ(=音の聴こえやすさ)に驚くはずだ。その確かな手応えが1万円台のイヤホンで実感できるなら、価値ある買い物になるはず。

もちろん購入の際には、自身の耳と目で、実物の質感を確かめたり試聴してみて欲しい。最終的に選んだ製品が、音楽リスニングライフ向上の一助となれたら幸いだ。

(山本敦)