BlackBerryは世界数十カ国の捜査機関の要請に応じて携帯電話のメッセージやユーザー情報を提供していた
カナダの捜査関係者に対してユーザーのメッセージにアクセスするためのマスターコードを提供していたと報じられたBlackBerryが、カナダだけではなく数十カ国の捜査関係者に対してユーザーデータを提供していたと、CBC Newsが報じています。
BlackBerry hands over user data to help police 'kick ass,' insider says - Technology & Science - CBC News
BlackBerryは強力なセキュリティが売りの1つでしたが、2010年から2012年にかけてカナダで組織犯罪で起きた際、利用されたBlackBerry端末に暗号化されたメッセージを解読するためのマスターコードを捜査機関に対して提供したことが判明し、ユーザーへのプライバシー保護の観点から問題があると非難されていました。
警察がスマートフォン「BlackBerry」の暗号化解除キーを入手していたことが判明 - GIGAZINE
しかしカナダに本拠を構えるBlackBerryが積極的に捜査協力をしていたのはカナダ国内にとどまらず、世界数十カ国にのぼっていたことが、以下のムービーによって明らかにされています。
BlackBerry hands over user data to help police 'kick ass,' insider says - Technology & Science - CBC News
代表的なのがアメリカへの捜査機関への協力。ニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲス選手はドーピング問題で1年間の出場停止処分を受けましたが、疑惑の全容解明にBlackBerryが寄与していました。
CBC Newsによると、ロドリゲス選手が使っていたBlackBerry端末のBBMメッセージに残された薬物使用に関する記述が処分の決定打になったとのこと。
また、ブラジルの国営石油資本ペトロブラスを巡る汚職捜査でも、BlackBerryはブラジルの警察関係者に捜査協力して、ユーザーのメッセージを傍受したことがBlackBerry関係者によってリークされています。
BlackBerry関係者の内部告発によると、BlackBerryには「Public Safety Operations」と呼ばれる捜査関係者に協力して動く部署があり、捜査協力に応じた国は世界数十カ国にのぼるとのこと。
捜査協力に提供していた情報は、「端末や契約者の情報」「メッセージ送受信のログ」「その他」で、その他の中には通信傍受や暗号解除キーの提供などの行為が含まれています。
CBCの取材に対してBlackBerryの関係者は、捜査に協力したのは麻薬密売、人身売買、マネーロンダリング、誘拐、子どもに関する犯罪であり、これらの凶悪犯罪に対する行為としての正当性を主張したそうです。
しかし、BlackBerryは透明性レポートにおいて、捜査関係者からの協力要請の数や実際にBlackBerryが協力した数についてのデータを公表していません。この点についてテクノロジーに関するプライバシーの専門家は、BlackBerryの捜査機関への協力体制は、Google、Apple、Facebookなどの他のハイテク企業のものとは大きく異なると述べています。
CBCがBlackBerryに対して各国の捜査機関への協力について問い合わせたところ、広報担当者は捜査に関するセンシティブな問題なので答えられないと回答したとのこと。その上で、「犯罪者の逮捕のために法的・倫理的に適切な方法を使って求められた支援に応じることは、ハイテク企業に求められる責務であり、BlackBerryはこのような基本理念に従って行動している」と回答したそうです。
