「虚史のリズム」[著]奥泉光いち美術評論家が、敗戦直後の日本を舞台とした、総1100頁(ページ)におよぶ「超規格外ミステリー小説」を取り上げるのにはわけがある。なにげなく開いた版元のPR誌に本書の装丁家との対談が載っていて、作者みずから「小説とは散文による言葉のアート」と断言していたからだ。とはいえ小説は読むもの、アートは見るもの、と世の中的にはなっている。その点で本作をわかりやすく「見るもの(ア