確かに長大、しかしするする読めて滅法おもしろい。永嶋恵美『檜垣澤家の炎上』(新潮文庫)が8月頭にでん、と出て1月が経った。今年は大長篇の当たり年で、京極夏彦『了巷説百物語』(KADOKAWA)が出たかと思えば、翻訳でマット・ラフ『魂に秩序を』(新潮文庫)、さらに版型そのものが大きい奥泉光『虚史のリズム』(集英社)と千ページ超えの作品が相次いでいる。それに比べれば軽い軽い、だって八百ページないんだもの。