「いじりから、いじめから、失礼から、男の暴力から、貧乏から、娘にぶらさがってくる家族から。あたしは逃げて、逃げて、逃げ切ってやる」--。自伝的小説の連作短編集『私労働小説ザ・シット・ジョブ』(KADOKAWA)を刊行したブレイディみかこさん。第一話「一九八五年の夏、あたしたちはハタチだった」では、憧れだった英国への渡航費用を稼ぐため、地元の福岡で水商売をしていた頃のことを描いている。主人公は日本を脱出して