新型コロナウイルスの流行によって、外出の機会も減り、自宅にいる時間が以前より長くなった今だからこそ「回想」を、と語るのは、作家の五木寛之氏だ。回想というのは「昔は良かった」など、過去を思い返すこと。「感傷にふける」という意味で、後ろ向きな行動だと考えられることが多いが、五木氏はむしろ積極的な行為と考えている。古い記憶の海に浸るだけではなく、何かをそこに発見しようとする行為だからだ。広く、深い記憶の