〈外見さえ整えて、ひとしきり作法を守っているかぎり、上流階級の淑女に許された自由を楽しむことなど、実は造作もない〉オシャレです。ホセ・ドノソ『ロリア侯爵夫人の失踪』(寺尾隆吉訳、水声社《フィクションのエル・ドラード》)は、エレガントで背徳的、そしてアーバンな官能小説。三島由紀夫賞受賞作『伯爵夫人』がいろいろエロいという噂が聞こえてくるが、侯爵夫人もなかなかにエロい。「結婚行進曲」のアイロニー1920年