同性婚が認められていないのは婚姻の自由を保障する憲法に違反するなどとして、同性カップル13組26人が国を相手取り、全国4地裁で同時提訴した裁判の第2回口頭弁論が各地で始まった。

その皮切りが、愛知県内の男性カップル2人が原告として提訴した名古屋地裁(桃崎剛裁判長)で、7月2日に開かれた第2回口頭弁論だ。今後、この裁判を方向づける口頭弁論として、傍聴に訪れた大勢の支援者らが見守る中、国側に対して原告弁護団が厳しく説明を求める場面もあった。

国側は、6月に提出した準備書面で、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると規定する憲法24条1項は、「同性婚を想定していない」という従来の政府見解を主張。その上で、同性婚を認めない民法と戸籍法の規定は憲法違反とはならないとした。

口頭弁論では、この書面に対して、原告弁護団はさらなる説明を求めて、急遽「求釈明申立書」を提出。憲法24条1項が同性婚を想定していないということは、「禁止」なのか「許容」なのか、国としての立場を明確にするようなどと追及した。

●原告弁護団「国からの反論が拍子抜け」

この日の夜、裁判の支援者らが集まるイベントが名古屋市内で開かれ、訴訟の報告などが行われた。その中で、原告側弁護団の一人である堀江哲史弁護士は、当初は予定になかった「求釈明申立書」を提出した舞台裏を明かした。

「2月に訴状を出して提訴して、国側の実質的な反論が出てくる期日が6月でした。しかし、その反論の書面は、言葉を選ばなければ、薄かった。本当にこれで反論してくるのか、という拍子抜けの内容でした。

私たちは、訴状だけで80ページ。証拠も114種類を提出しています。キャリーケースいっぱいの書類です。それに対して、国側の反論の書面は20ページ。その大部分がこちらの主張に対する認否で、実質的に被告の主張が述べられていたのは、たった3ページだけでした」

それが、憲法24条1項は同性婚を想定していないのだから、同性婚を認めていないのは違憲ではないという主張だった。これでは、議論が深まらないとして、名古屋地裁の原告弁護団は全国の同性婚弁護団とともに協議を行い、「求釈明申立書」を提出することにしたという。

「つまり、国に対して、あなたたちの主張は内容がないので、もうちょっとしっかり反論してくださいという内容です。たとえば、性的指向は自らの意思で変えられないことは明らかというのが大前提の事実ですが、国側は『これは原告の意見である』として、態度を明らかにしていませんので、それを明確にするよう求めています」

口頭弁論では、この「求釈明申立書」を受け、裁判長から国側に対して、いつまでに反論をするか確認したところ、国側はこれ以上の反論はしないとした。

●なぜ国側は本質的議論を避けるのか?

イベントでは、原告らを支援する中京大学の風間孝教授(社会学)も登壇、「国側はこんな薄い反論で勝てると踏んでいるのでしょうか? この反論をどう読んだらよいのでしょうか?」と原告弁護団に質問した。

これに対し、堀江弁護士は、「こうした憲法訴訟ではよくあることではあります。国側は、議論の本質的な部分に立ち入らないような進め方を狙っていると解釈しています」と説明した。

裁判では、同性婚を認める法律がないという立法不作為も主張しているが、最初に憲法上の違反が明白であること、次にそれを是正するための立法措置を取る必要があること、そして長期にわたり立法措置を国が怠っていること、という三つの条件を満たせば「違法」になるという。

「そのため、まず大前提として違憲性が認められる必要があります。国側としては、違憲性がないということを主張して、ここでとどめたいのだろうと思います。しかし、この裁判は国家に対する賠償請求という形であり、原告の一人一人が人生でどのような損害を受けているのか、そこまで議論をしていきたいです」

次回の名古屋地裁での口頭弁論は、10月15日が予定されている。また、他の地裁の第2回口頭弁論は、7月5日に大阪地裁、7月8日に札幌地裁と東京地裁でそれぞれ開かれる予定だ。原告弁護団の一人である浦野智文弁護士はあらためて、訴訟の応援を呼びかけた。

「新しい判断を求めているので、どうしても裁判に時間がかかります。原告のみなさんを勇気付けたり、社会を盛り上げたりするためにも、裁判の傍聴やイベントの参加をお願いします」

●「おっさんずラブ」や「きのう何食べた?」人気ドラマで理解を

当事者も多く参加したこの日のイベントでは、弁護団らもまじえて、同性婚について議論が行われた。同性婚についての不安やネガティブな点を参加者らが洗い出し、それをどうやって他の人たちに伝えたり、ポジティブに考えることができるかなど、さまざまな角度から意見が出された。

参加者の一人が、「LGBTの人はどうしてそんなに権利を主張するのかと言われてしまう」と悩みを打ち明けると、他の参加者は「権利を守られている人からすると、そう見えてしまうのでは」と話していた。

また、別の参加者からは、「50代から70代の男性が同性婚に対して反対意見が多く、偏見も多い。彼らは核家族化が進み、男女でこうあるべきという役割が強くなった世代。積極的に認めてくれとは言わないけど、存在を受け入れてほしい」という意見もあった。

最近は「おっさんずラブ」や「きのう何食べた?」といった同性カップルが登場するドラマが人気であることも話題となった。こうしたコンテンツを通じて、同性婚や同性カップルについて、知ってもらいたいという声もあった。別の参加者も、「同性婚は特別なことではない」というポジティブな情報を発信していきたいと語っていた。