3回に5得点!集中打を浴びせて横浜商が初戦突破!

先制打を放った松本(横浜商)

 遂に神奈川県大会の開幕を迎えたこの日、前日からの雨により保土ヶ谷球場には水溜りができていた。開催は難しいと思われたが球場の係員、各校の選手達によって整備が行われ、3時間近く遅れての試合開始になった。第1試合開始を今か今かと待ち構えていたのは、横浜商と生田。「ずっと声かけしていましたが、集中力を持続するのが難しかったです」と横浜商・松本主将が語ったように、選手達はベストな状態で試合に入ることが難しかった。

 懸命の整備が終わり、いよいよ試合開始。先制したのは横浜商だった。3回裏、安打、四球を絡めて無死満塁のチャンスを作り、迎えるは3番・主将でもある松本。「先発の梅津も頑張っていたので、先制打が欲しかった。ゴロを意識しました」という打球は三遊間を抜ける安打になり、まず1点を先制する。なおも続くチャンスに5番・青柳がレフトオーバーとなる二塁打を放ち、2点を追加。後続が倒れたが、7番・梅津の適時打でさらに2点を追加し、5対0とする。

 勢いに乗る横浜商は、5回裏にも無死から3番・松本が二塁打で出塁し、4番・森田の適時打で1点を追加。勝利を大きく引き寄せる一打であった。

完投した梅津投手(横浜商)

 なかなかチャンスを作らせてもらえない生田は9回表になんとか1点返すがここまで。横浜商が6対1で生田を破り初戦突破を果たした。

 横浜商・先発右腕の梅津投手のこの日のピッチングの出来には、打線がとってくれた6得点があれば十分だった。「打線が6得点とってくれたことは本当に大きかったです。楽に投げられました。」この冬に覚えたというスローカーブを武器に、変化球を低めに集める投球で打者を翻弄。安打こそ多く打たれたものの、間合いをとったり、野手に声掛けしたりすることで相手打線に連打を許さなかった。横浜商・榎屋監督も、「打たれ強いのが、あの子いいところです」と語るように持ち味を存分に発揮した投球だった。

 横浜商・松本主将は嬉しそうに「集中打で5得点とれたのが大きかったです、打撃力を上げたいと思って冬は練習してきましたので成果が出ました」と話してくれた。成果を出せたのは冬の厳しい練習があったからだという。「冬場は10キロの丸太を抱えて、ダッシュ30本して下半身を鍛えてきました。本当にしんどかったですけど、打撃がよくなりました。また、苦しい練習を乗り越えたので試合でも周りを見て、声掛けができるようになりました」と冬の成果を実感できた試合に頬を緩めた。

 近年は学校、横浜市の後押しもあってか、グラウンドをはじめ室内練習場、トレーニングセンターもあり、練習設備が充実しているという横浜商。かつては、甲子園準優勝も経験しているが、夏の甲子園は1990年を最後に途絶えている。今日の勝利はあくまでも、Y校復活への序章に過ぎない。

(文=高校野球ドットコム編集部)