関東一vs都立日野
初回に先制の適時打を放った神原祥伍（都立日野）
前日までの春の陽気とはうって変わって、朝から冷たい雨が降る中で行われた、秋季都大会はベスト4（試合レポート）の関東一と、秋は初戦（試合レポート）で二松学舎大附に大敗した都立日野の対戦。それでも都立日野の嶋田雅之監督は、「秋からチーム力が上がってきています」と語る。
実際、1回表の攻撃で、関東一の先発・阿部 武士に猛攻を浴びせる。一死一塁から3番根岸優太の二塁打で二、三塁とし、4番神原祥伍の中前安打で1点。さらに5番杉浦太一も右中間に二塁打を放ち、もう1点を追加した。
関東一は、この試合が初戦。2試合を戦っている都立日野とは、ゲーム感覚に差がある。関東一の米澤貴光監督は、「春の3回戦は難しいです。力のあるチームが上がって来ますから。苦しい試合になるとは思っていました」と語る。
そうした嫌な雰囲気を、1回裏の攻撃で、一気に変える。内野安打で出塁した2番井橋俊貴が盗塁し、4番森山 将の中前安打で1点。続く五十嵐 滉希が高めのストレートを叩き、ライトフェンスを越える2ラン本塁打を放ち、一気に逆転した。もともとパワーがあり、素質は評価されていた五十嵐であるが、秋は不振であった。「練習が終わった後も、ティーバッティングなどで、人より多く振ってきました」と五十嵐は語る。
それでも都立日野は、2回表に内野安打で出塁した9番青山佑貴が、関東一の内野エラーなどで還り、すぐに同点に追いついた。
2ラン本塁打を放った4番・森山将（関東一）
その後は関東一の阿部、都立日野の先発の青山の、辛抱強い投球が続く。しかし6回裏関東一の攻撃で、青山は自らの暴投でピンチを招く。この回先頭の4番森山が内野安打で出塁。降り続く雨の影響なのか、青山のワンバウンドになる投球が、跳ねずに捕手の股の間を抜ける暴投になるケースが2回続き、森山は三塁へ。6番丸山 駿也の右前安打で1点勝ち越した。
7回裏、関東一の猛攻が始まる。無死一、三塁で3番伊藤 雅人によるセンターへの犠飛でまず1点。続く4番森山のライトフェンスを超える2ラン本塁打。ここで都立日野は先発の青山から内藤啓太に交代したが、内藤からも8番佐藤佑亮の中前適時打などで1点を追加して勝負を決めた。
終わってみれば、8−2。関東一打線の底力が目立った一戦だった。それでも関東一にしてみれば、まだまだこれからといった感じだ。
敗れた都立日野の嶋田監督は、「初回は抑えて終わりたかった。勝負どころのピッチング、バッティングが、関東一が上でした。これから、2年生が伸びてくれないと」と語り、チーム全体の底上げを期した。
（文＝大島 裕史）
