日南学園vs都城
和間 渉（日南学園）
↓今チームの対戦歴↓■新人戦（第62回宮崎県高等学校新人野球大会県南地区予選・代表決定戦） 日南学園5−4都城（延長13回）
第1シード延岡学園の最激戦パートから抜け出したノーシード日南学園と、第3シードから順当に勝ち進んだ都城が激突した決勝戦。日南学園は、二回戦・準々決勝に登板して、二試合とも完封した左腕和間 渉（背番号10）。都城は、ここまで4試合を一人で投げ勝ってきた大エース山本 由伸（背番号1）。決勝戦では、両投手がどのような立ち上がりをみせるか？注目が集まった。
しかし、都城山本由（2年）は、二回戦→（中3日）→三回戦（試合レポート）→（中2日）→準々決勝（試合レポート）→（中1日）→準決勝（試合レポート）→（中0日）→決勝。10日間で4試合完投（うち2試合は完封）。蓄積された疲労を隠し切れなかった。投球練習から本来のキレと抜群の制球力がなく、初回から打者のウエスト付近に球が集まる。そこを逃さないのが、日南学園打線。
1回表、日南学園2番森山が右前安打で出塁すると、3番前田尚が右越適時二塁打を放ち先制。返球間に前田尚は三塁まで進む。続く4番前田智の内野ゴロで、三走前田尚がホームへ突入。敵失を誘い2点目をあげる。3回表には、一死から1番山本が、逆風でなければスタンドインしたであろう、ライトフェンス直撃の三塁打で出塁。山本は、2番森山の内野ゴロで本塁死になるも、塁上に残った森山が3番前田尚の左中越適時二塁打で生還。
序盤で、日南学園3−0都城。日南学園が主導権を握った。
すると、都城は4回表、エース山本由がマウンドを降りて一塁手へ。都城2番手は、オーバースローからサイドスローに転向した右腕野口 辰海（3年）が、今大会初マウンドにあがった。野口は、一死から連続死球を与えるも、後続をしっかりと抑える（捕邪飛、三振）。投手交代で、都城が流れを変えることができるか？
その裏、都城二死一二塁から、マウンドを降りたばかりの6番山本由が左越え2点適時二塁打を放つ！山本由が自責点をバットで返して、日南学園3−2都城。試合はここからだ。
二番手・野口 辰海（都城）
マウンドを任された都城野口は、5回表も日南学園打線に的を絞らせない。あたっている1番山本を中飛、2番森山を遊飛にしとめ、絶好調の3番前田尚には単打を許すが、4番前田智を三振。都城2年生エース山本由の降板を、3年生野口がカバー。ここからゲームを作り直すか？都城が流れを引き戻して、終盤勝負に持ち込みたいところだった。
しかし、5回裏8番野口の打席で代打が送られ、グラウンド整備を挟んだ6回表から再び山本由がマウンドにあがった。山本由の再登板がどう転ぶか？大きなポイントだった。今日の山本由と野口。日南学園打線が嫌がる投手は、野口のほうだったことだろう。
6回から、再び、日南学園打線が本領発揮！下位打線にも火がついて、6回から9回で7安打。都城の失策も絡んで4点を追加した日南学園が7−2で逃げきり優勝を果たした。日南学園和間は、9回を被安打5、1四球、2失点。失点した4回以外は、二塁さえ踏ませない好投だった。
今大会が始まる寸前まで対外試合が出来なかった今チームの日南学園であったが、1回戦から決勝まで計6試合を戦うことが出来た。ともにエース格左腕の和間・森山が、程よい登板間隔で3試合ずつゲームを任されて、ベストピッチングをみせると、伝統の堅守も光り、6試合で1失策、4失点。攻撃面では、なかなか打てない試合が続いたが、やっと決勝で大量安打が出た。県内の好投手と戦い、競り勝ったところも大きな経験値になったことだろう。【準々決勝・横山（宮崎学園）、準決勝（試合レポート）・佐藤賢（延岡商）、決勝・山本由（都城）】
九州の強豪校、好投手とは、どのような戦いができるだろうか。宮崎県代表日南学園が九州の頂点を狙う。
■日南学園・金川豪一郎監督「昨夏の甲子園出場、新人戦から、（不祥事＝半年間の対外試合禁止は）私たちの指導力不足で、野球をさせてあげられない時期があったが、高校野球のチカラは大きいですね。選手たちと、また夏に甲子園に行こうと必死にやっている。（九州大会では）九州の強豪校と対戦させていただけるので、試合経験不足の選手たちには、1戦ずつ、試合運びや戦い方を覚えていってもらいたい。」
■都城・森松賢容監督「ピッチャーは、二枚目・三枚目をつくっていく必要がある。（試合中、選手たちに）『一人のミスで負けるぐらいでは、強いチームではないぞ！チームでカバーして、みんなで勝とう！』と、言った。（今チーム日南学園に2敗目）3度目はない。次は絶対勝ちます！」
（写真・文＝三角 竜之）
