“イマドキ”の響きは選手名を覚えるきっかけの1つになる!?

 凱豊、琉海、令穏、永遠、伊玖磨。これらの人物名を、一度で読めるだろうか。ここに出ている名前、実は21日に開幕する第87回選抜高校野球大会に出場する選手のファーストネームだ。

 昭和生まれのファンなら、最近の甲子園中継を見ていると「イマドキの名前の選手が増えたなあ…」と実感することも多いだろう。しかし、イチローの登場から20年以上が過ぎ、近年は特にファーストネームを登録名にするプロ野球選手が増えてきたこともあり、一見珍しい「イマドキネーム」はファンが選手を覚えるきっかけの一つにもなってきている。

 そこで、1997〜99年生まれの選手がそろう今大会の出場32校から、実力とともに名前もキラリと光るプレーヤーを紹介したい。

 ○仙台育英・佐藤 世那(さとう せな)/投手
  健大高崎・柘植 世那(つげ せな)/捕手

 実力で大きな注目を浴びるのが、投打のセナだ。

初戦で世那と嵐満が激突、軍配はどちらに?

 まずは仙台育英の佐藤。父が「音速の貴公子」と呼ばれたF1ドライバー、故アイルトン・セナのファンだったことが、由来の一つという。投手としてMAX144キロのストレートを投げ、昨秋の明治神宮大会では日本一を達成。その名に恥じない活躍ぶりだ。チームに佐藤姓が複数いることもあり、佐々木順一朗監督も必ず「セナ」と呼んでいる。

 もう一人が、健大高崎の柘植。こちらもチームを昨夏の選手権ベスト8入りに導き、今年のドラフト候補に挙げられる強肩強打の捕手だ。両者の対戦経験はまだないが、ともに今大会屈指の強豪校。対戦が実現する決勝で「セナ対決」となれば盛り上がるだろう。

 ちなみに、米子北にも古賀野 世南(こがの せな)が登録されている。

 ○宇部鴻城・上西 嵐満(うえにし らんま)/投手

 健大高崎・柘植と初戦で激突するのが、宇部鴻城の上西。昨秋の中国大会制覇の原動力となったエース右腕は、中学3年当時にヤングリーグの全国大会ベスト4と実力も折り紙付き。その名の通り、「快投ランマ」のピッチングで、チームの春初勝利をモノにしたい。

凱豊、琉海、令穏、永遠、伊玖磨…、今春ファンの記憶に刻まれる名前は?

 ○糸満・金城 乃亜(きんじょう のあ)/投手

 今大会、ダークホースと目されている糸満のエース・金城。伝説のような響きを持つ名前の右投手は直球130キロ台。しかし、沖縄県で毎年行われる野球部対抗競技大会で遠投119メートルを叩き出して優勝した地肩の強さは驚異的。その身体能力を生かし、台風の目となれるか。

 ○九州学院・伊勢 大夢(いせ ひろむ)/投手

 九州王者・九州学院を牽引するのが、右腕エース・伊勢。昨秋は明治神宮大会準決勝で敗れるまで、なんと公式戦12試合98イニングすべてを1人で投げ抜いた経歴を持つ。「大きな夢」というストレートな意味を込められた鉄腕は、甲子園優勝という夢に挑戦する。

 ちなみに冒頭に登場した選手名は、英明・森 凱豊(もり かいと)、英明・林 琉海(はやし るか)、県岐阜商・坂下 令穏(さかした れおん)、東海大四・酒本 永遠(さかもと とわ)、立命館宇治・古田 伊玖磨(ふるた いくま)と、こちらも響きのいい名前がズラリ。この春はどの名前がファンの記憶に深く刻まれるのだろうか。