バイトは売春と同じ/純丘曜彰 教授博士
/バイトは自分の人生という貴重な資産を切売りしているだけ。気づくころには、本体価値が残っていない。きみが1時間で作り出すものは、きみの時給よりはるかに価値がある。若いうちに自分自身に付加価値を付ければ、人に搾取されることなく、その剰余をその後の数十年にわたって自分で享受することができる。/
バイト、って、時間切売りの奴隷でしょ。売春と同じじゃん。「アルバイト」は、もともとはドイツ語で、そこそこの学生にしか理解できない言葉だった。それを理解できる学生、自分で勉学費や生活費を工面している苦学生を支援しよう、という善意で、バイトは生まれた。ところが、腐れファストフードあたりから、正社員採用を前提としない、つまり後腐れの無い、その場限りの単純労働力として、学生を搾取するようになった。つまり、恋愛や結婚の前提抜きの売春の同類。
若いうちは、自分の未来の時間が無限にあるように感じる。だから、ほんの数時間くらい、人の奴隷になっても、カネになるなら、なんて考える。それどころか、あの有名の店の裏側を見せてもらえて、おカネまでくれるなんて、などと思う。しかし、そんないい仕事なら、社員たちがみんな自分たちでやってるよ。自分たちでやらないのは、絶対に割に合わないから。
就職活動で、自慢げにバイト歴を話すバカがいる。だが、バイト歴なんか、学生時代の活動として評価する会社は、絶対に、どこにも存在しない。バイトなど、学生時代にまともな学校の勉強をしてこなかった、社会の活動もしてこなかった、という、最悪の経歴の空白でしかない。そんな風にかんたんに人に騙されるようなやつは、企業ではバイトとして以外は使いものにはならない。
剰余価値説を持ち出すまでもなく、きみが1時間で作り出すものは、きみの時給より価値がある。だから、きみを雇って働かせる。いや、だけど自分でハンバーガーを作ったって、1つも売れないよ、と言うだろう。そんな考え方だから、きみは、自分を奴隷として安売りして、いいように「搾取」される。それなら、ハンバーガーチェーンを作ったやつの最初のハンバーガーがすぐに売れたとでも思うのか。何千個も売れないハンバーガーを作ってきて、そうやって、売れるハンバーガーの作り方を作った。そして、その作り方どおりに、言われるがままの、世間知らずのバカなアルバイトどもを働かせれば、売れるハンバーガーが、寝てても、どんどんできあがる。
人に搾取されるのもイヤだけど、人を搾取するのもイヤだ、なんて、御立派なことを言うのなら、こんな手もある。たとえば、1時間かけて短編のマンガか小説でも描いたらいい。それを電子出版する。もちろんすぐには売れないかもしれない。でも、続けていくうちに、すこしずつファンが付いて、君が寝ていても、きみの作品がかってにカネを稼ぎ出すようになる。いわゆる印税生活だ。きみが1時間で作り出すものは、きみの時給より価値がある。きみの創った作品は、バルタン星人みたいに、きみの分身となって働いてくれる。言うまでもなく、分身は多ければ多いほどいい。
そりゃ理屈ではそうだろうけれど、そんな才能も無いし、なんて、きみはまだ寝ぼけたことを言うかもしれない。だった、なおさらだ。才能が無いなら、新たに能力を付けることにこそ、自分の時間を使うべきだ。自分は自分の作品だ。1時間、きみが厨房やレジにいたって、きみの付加価値は変わらない。それどころか、ムダに年だけとって、いくら時給をもらっても、じつは人生という本体資産を減価償却してしまっているだけ。英語でも、スペイン語でもいい。簿記でも、エクセルでもいい。なにか能力を身につけて、将来、月給が1万円でも高い職につければ、学生時代のアルバイトの遺失利益なんかかんたんに取り返せる。逆に、バイトにほうけて学校もいいかげんになり、就職もできなければ、いくらかつてバイトの時給が高かかったとしても、生涯賃金としては丸損じゃないか。
バイトは売春と同じだ。目先の高い報酬は、将来の幸せを先取りして切売り安売りした結果にすぎない。バイトだの売春だのに明け暮れていれば、気づいたときには、自分の未来が、まるまる無くなってしまっている。20歳の1時間は、50歳の30時間に相当する。その1時間に、きみが自分自身に付加価値をつければ、その後の30年間以上に渡って、それが生み出す剰余を自分で享受できる。きみが1時間で作り出すものは、きみの時給よりはるかに価値がある。そんな貴重な1時間を、きみを騙して搾取する悪い連中に安売りしたりせず、将来の自分自身のために、自分自身の付加価値を上げることのためにこそ注ぎ込むべきだ。
by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士
(大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。)
バイト、って、時間切売りの奴隷でしょ。売春と同じじゃん。「アルバイト」は、もともとはドイツ語で、そこそこの学生にしか理解できない言葉だった。それを理解できる学生、自分で勉学費や生活費を工面している苦学生を支援しよう、という善意で、バイトは生まれた。ところが、腐れファストフードあたりから、正社員採用を前提としない、つまり後腐れの無い、その場限りの単純労働力として、学生を搾取するようになった。つまり、恋愛や結婚の前提抜きの売春の同類。
就職活動で、自慢げにバイト歴を話すバカがいる。だが、バイト歴なんか、学生時代の活動として評価する会社は、絶対に、どこにも存在しない。バイトなど、学生時代にまともな学校の勉強をしてこなかった、社会の活動もしてこなかった、という、最悪の経歴の空白でしかない。そんな風にかんたんに人に騙されるようなやつは、企業ではバイトとして以外は使いものにはならない。
剰余価値説を持ち出すまでもなく、きみが1時間で作り出すものは、きみの時給より価値がある。だから、きみを雇って働かせる。いや、だけど自分でハンバーガーを作ったって、1つも売れないよ、と言うだろう。そんな考え方だから、きみは、自分を奴隷として安売りして、いいように「搾取」される。それなら、ハンバーガーチェーンを作ったやつの最初のハンバーガーがすぐに売れたとでも思うのか。何千個も売れないハンバーガーを作ってきて、そうやって、売れるハンバーガーの作り方を作った。そして、その作り方どおりに、言われるがままの、世間知らずのバカなアルバイトどもを働かせれば、売れるハンバーガーが、寝てても、どんどんできあがる。
人に搾取されるのもイヤだけど、人を搾取するのもイヤだ、なんて、御立派なことを言うのなら、こんな手もある。たとえば、1時間かけて短編のマンガか小説でも描いたらいい。それを電子出版する。もちろんすぐには売れないかもしれない。でも、続けていくうちに、すこしずつファンが付いて、君が寝ていても、きみの作品がかってにカネを稼ぎ出すようになる。いわゆる印税生活だ。きみが1時間で作り出すものは、きみの時給より価値がある。きみの創った作品は、バルタン星人みたいに、きみの分身となって働いてくれる。言うまでもなく、分身は多ければ多いほどいい。
そりゃ理屈ではそうだろうけれど、そんな才能も無いし、なんて、きみはまだ寝ぼけたことを言うかもしれない。だった、なおさらだ。才能が無いなら、新たに能力を付けることにこそ、自分の時間を使うべきだ。自分は自分の作品だ。1時間、きみが厨房やレジにいたって、きみの付加価値は変わらない。それどころか、ムダに年だけとって、いくら時給をもらっても、じつは人生という本体資産を減価償却してしまっているだけ。英語でも、スペイン語でもいい。簿記でも、エクセルでもいい。なにか能力を身につけて、将来、月給が1万円でも高い職につければ、学生時代のアルバイトの遺失利益なんかかんたんに取り返せる。逆に、バイトにほうけて学校もいいかげんになり、就職もできなければ、いくらかつてバイトの時給が高かかったとしても、生涯賃金としては丸損じゃないか。
バイトは売春と同じだ。目先の高い報酬は、将来の幸せを先取りして切売り安売りした結果にすぎない。バイトだの売春だのに明け暮れていれば、気づいたときには、自分の未来が、まるまる無くなってしまっている。20歳の1時間は、50歳の30時間に相当する。その1時間に、きみが自分自身に付加価値をつければ、その後の30年間以上に渡って、それが生み出す剰余を自分で享受できる。きみが1時間で作り出すものは、きみの時給よりはるかに価値がある。そんな貴重な1時間を、きみを騙して搾取する悪い連中に安売りしたりせず、将来の自分自身のために、自分自身の付加価値を上げることのためにこそ注ぎ込むべきだ。
by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士
(大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。)