今日からCS最終ステージ、総合力で上回る巨人に阪神が打ち勝つ要素は?

 セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージを制した、阪神。今日からセ王者の巨人とのファイナルステージに挑む。1位チームに1勝のアドバンテージが与えられるファイナルステージ、巨人と阪神はどのような戦いを見せるのか。スポーツコメンテーターの飯田哲也氏に、ファイナルステージの見どころを語ってもらった。

「阪神は広島とのファーストステージ、投手戦を制しました。お互いに拙攻だった部分もありますが、阪神の投手陣の良さが目立ったと思います。特に2戦目で投げた能見は、シーズンの不調を覆すような素晴らしいピッチングを見せてくれました。

 この結果を踏まえて、チームの総合力は巨人の方が上だということも考えた上で、ファイナルステージは阪神の方が若干有利だと感じています。阪神は2試合で勝ち抜けを決められたので、先発に藤浪と岩田が残っていますし、メッセンジャーと能見も使える。逆に巨人は菅野が投げられないのがかなり痛いですね」

 広島との戦いを1勝1分で制した阪神は、確かに先発投手の力投が光った。しかし一方で、2試合で奪った得点は福留のソロホームラン1本のみと打線には不安が残る。

「確かに、なかなか得点を奪えませんでした。ただ、チャンスは作れていましたし、もう少し得点を奪うために方策を練る必要があると思います。短期決戦なので、シーズン中と戦い方を変えなければなりません。貪欲に1点を奪いに行く、そうした戦いが求められます。

 具体的には、打順の入れ替えをしても良いのではないかと考えています。2戦目などは、西岡が3回も塁に出ながら、強力なクリーンナップを生かすことができませんでした。そこで、上本と大和の打順を入れ替えて、西岡の出塁率とクリーンナップの力を生かす。

 上本の2番は確かに魅力的なんですが、初回こそバントをしましたが、強攻策が裏目に出た場面もありました。ベンチも上本が2番にいると“何かしたい”と欲が出てしまいます。短期決戦ですから、シーズンとは考え方を変えて、2番に大和を置いて確実にランナーを進める、そんな野球をした方が良いのではないでしょうか」

 確かに阪神は得点こそ奪えていないが、初戦は8安打3四死球、2戦目も7安打2四死球とランナーを出すことは出来ている。打順の変更は、得点を増やすための一つのヒントになるかもしれない。

阪神は福留、巨人は阿部がキーマン

「相手からすれば、鳥谷、ゴメス、マートンと並ぶクリーンナップは脅威です。彼らの破壊力を、どれだけ相手に対して圧力として掛けられるかが重要になってきます。

 また、その後ろに復調した福留が控えているのも大きいですね。1戦目で決勝打となるホームランを打ちましたが、あの場面では明らかに前田健太も投げづらそうにしていました。結果論になりますが、無理して勝負に行く場面ではなかったですが、甘い球を仕留められた、そこに福留の好調さが表れていると思いますね」

 阪神と相対する巨人は、今季チームの勝ち頭である菅野が負傷で投げることができない。これはかなりの痛手だろう。

「巨人は1勝のアドバンテージがあるとはいえ、苦戦するとは思います。初戦を取って先に2勝のリードを持てれば、かなり余裕を持って戦えるとは思いますが、今年の巨人には絶対的な強さが感じられません。初戦を阪神が取るようなことがあれば、一気に流れは阪神に傾くと思います。

 初戦の先発は、個人的に澤村が行くのではと予想しています。今年の内海に初戦を任せられるのかすごく判断が難しいですし、阪神との相性も良くありません」

 内海は今季、阪神戦に2試合登板して13回を投げ自責点が8、0勝1敗で防御率は5.54だ。一方の澤村は、序盤出遅れ、中継ぎ起用などもある苦しいシーズンとなったが、阪神戦の成績は4試合で2勝2敗、防御率は2.93。今季唯一の完封勝利を含む2完投と、相性は決して悪くない。

 最後に、両チームでキーポイントとなりそうな選手を聞いた。

「阪神のキーマンは、ファーストステージに引き続き福留です。クリーンナップの破壊力は間違いなく巨人より阪神の方が上ですし、出塁率も高い。その後ろに控える福留が、どれだけ働けるかでシリーズの行方は大きく左右されると思います。

 そして巨人は、阿部です。阿部が攻守両面で、どれだけ本来の力を発揮できるか。阿部の活躍次第で、巨人のチーム力はまったく違ってくる。阿部にとって今季は苦しいシーズンでしたが、それを払拭するような活躍を期待したいですね」

 総合力の巨人、勢いの阪神。果たしてどちらが日本シリーズへの切符を手にするのだろうか。

■クライマックスシリーズ・ファイナルステージ勝ち抜けの条件

 クライマックスシリーズのファイナルステージは、リーグ戦1位のチームに1勝のアドバンテージが与えられ、さらに1位チームの本拠地で全試合が開催される(6試合制)。アドバンテージの1勝を含め、先に4勝したチームが勝ち抜ける。引き分け試合が入り勝ち数が並んだ場合は、リーグ戦1位のチームが勝ち抜け。