トーレスがリヴァプールに残した“意外な遺産”…スターリング獲得秘話

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 ラヒーム・スターリングは、19歳にしてリヴァプールとイングランド代表でキープレーヤーと言われる“神童”だ。ジャマイカで生まれ、幼少期にロンドンに越してきたスターリングは当初、QPRのアカデミーでプレーしていた。そんな彼をQPRから引き抜いたのは、実は現ナポリのラファエル・ベニテス監督である。

 2004年からリヴァプールを率いていたベニテスは、退任間近の2010年、スカウトの報告を聞いて16歳のスターリングをリヴァプールのアカデミーに誘い、推定40万ポンドで移籍させることに成功した。そして、その際に重要な役割を果たしたのが、同じく当時リヴァプールに在籍していたフェルナンド・トーレスだったという。

 ベニテスは、英誌『ピープル』にスターリングの“獲得秘話”をこう語っている。

「我々はメルウッド(リヴァプールの練習場)にラヒームと彼の母親を招待し、一緒に歩きながら施設を見学させていた。フィジオルームに差し掛かったとき、そこには偶然、フェルナンドがいたんだ」

「私は、スターリング親子がここで何をしているのかをフェルナンドに説明した。するとフェルナンドはラヒームに興味を持ち、少しプレーの話をしたんだ。ラヒームは本当に嬉しそうだったし、彼のお母さんも同様だった。クラブのトッププレーヤーが親切にしてくれたことは、とても印象に残っただろうね」

 当時のトップスターに優しく声をかけられたことが移籍の決め手となり、スターリングはロンドンからマージーサイドへと居を移した。2012年3月、赤いシャツをまとった彼が17歳でプレミアリーグ・デビューを果たして以降、現在に至るまでの右肩上がりの成長は広く知られている通りである。

 残念ながら、トーレスは2011年1月にチェルシーへ移籍してしまったため、両者がチームメートとしてピッチに立つことはなかった。だが、あの日トーレスが偶然フィジオルームで治療を受けていなければ、そして16歳の少年が彼に出会っていなければ、イングランドの“宝石”がアンフィールドで躍動することはなかったかもしれない。

 リヴァプール時代、プレミア102試合65ゴールという圧巻の成績を残したトーレスだが、彼がクラブに残したものは数々のゴールだけではなかったようだ。

(記事/Footmedia)