やはり主役は高松北左腕・塹江 敦哉!

 8回コールドで勝利した高松北は先発全員出塁のデータが示すように、各々がそれぞれの役割をほぼ完璧にこなした。

 藤井も3回裏二死一塁から1番・山田 祐成(3年・遊撃手・右投左打・165センチ62キロ・坂出市立東部中出身)が右翼手の上をはるかに越える同点三塁打。2番手の大森 優次朗(3年・投手・右投右打・177センチ77キロ・藤井学園藤井中出身)も今大会2人目となるレクザムスタジアム表示「140キロ台」をマークするなど、個人能力の一端は示した。

 とはいえ、やはり主役は塹江 敦哉(3年・投手・左投左打・178センチ75キロ・香川県立高松北中出身)である。昨年高校生左腕最速をマークした桐光学園・松井 裕樹(現:東北楽天)に並ぶ最速149キロをマークし、毎回14奪三振をマークした多度津との1回戦に続き、この日も最速148キロをはじめ常時140キロ台をマークしたストレートと、130キロ台と120キロ台の2種類球速帯を持つスライダー。そして不規則な軌道で落ちる120キロ台チェンジアップで6・7回の6者連続三振含む11奪三振で藤井打線を翻弄。

 加えて課題の制球力も下半身主導の安定感は7イニング通じて保たれ、与えた死球は1個のみ。高校通算13本目となる公式戦1号2ランも放つなど、投打に渡ってほぼ完璧だった。

 これで2年連続となる3回戦進出を決めた高松北。中5日で迎える観音寺中央との3回戦ではチームの動向と同時に、今季高校生No.1左腕に昇り詰めつつある塹江が、辻内 崇伸(大阪桐蔭<大阪>・元巨人・現:女子プロ野球イースト・アストロイアコーチ)、高井 雄平(東北<宮城>・現:東京ヤクルト外野手)、菊池 雄星(花巻東<岩手>・現:埼玉西武)に続く史上4人目となる「高校生150キロ左腕」の称号を得られるか。そして、どんな進化を遂げるかにも注目が集まる。

(文=寺下 友徳)