4度目のサヨナラ機で決着

 どちらも得点圏にランナーを置きながら動きそうで動かない試合、先手を取ったのは後攻の高槻北だった。

 高槻北は3回、フォアボール、犠打、フォアボールで一死一、二塁のチャンスを作ると3番・川路が都島工業のファースト・村山の横を抜ける痛烈なライナーを放つ。これがライト線へのタイムリーツーベースとなり均衡を破った。

 先制を許した都島工業も4回、がっちりした体格の3番・石立が右中間を破るスリーベースヒットで出塁すると一死一、三塁から西中のスクイズですぐさま同点とする。

 序盤に比べると落ち着いた感のある中盤を経て迎えた8回、都島工業は無死二、三塁から石立の犠牲フライで、高槻北は二死一、三塁から藤原の内野安打で1点ずつ取り合い2対2で試合は延長戦へ。

 8回途中からリリーフしていた高槻北の2番手・吉田は9回に続き10回も2つの三振を奪い三者凡退。いい流れで攻撃につなぐと9回二死三塁、10回二死一、二塁とサヨナラ機を呼び込む。しかしあと1本が出ず、11回にも二死一、二塁と攻めるがホームが遠い。

 高橋、林、玉田、木佐貫晋の4人の継投でつなぎギリギリのところで踏み止まっていた都島工業投手陣は12回に木佐貫晋が無死1、2塁のピンチを背負う。

 100%に近い確率でバントしてくることが予想される場面で太田監督はストレートに力のある玉田をセンターのポジションから再びマウンドに戻す。

 高槻北の代打・山西は玉田のストレートをバントするもファールになり1ストライク。玉田はここで一塁へ偽投をするがプレートの外し方が不十分だったためかボークが宣告され無死二、三塁と場面が変わる。

 二死ではなく初めて無死のサヨナラ機を迎えた高槻北、これ以上ないビッグチャンスにヒッティングに切り替えた山西がセカンドの頭上を越えるサヨナラタイムリーをセンター前に放ち、4度目の正直でようやく決着。3時間近くに及んだ熱戦に終止符を打った。

(文=小中 翔太)