土浦湖北の大関友久が4回無安打8奪三振の好投!注目すべき将来性の高さ

 早い話になるが、来年の茨城で注目を浴びそうなのが土浦湖北の大関 友久(2年)である。

 186センチの長身から常時130キロ台を計測する大型左腕で、球速的には突出したものではないが、注目されるのはその将来性の高さである。

 体格が良い投手はエンジンの大きさが違うので、それをフルに活かす技術を身に付ければ、人並み以上の速球を投げることが出来る。スカウトが大関に期待を寄せるものは伸びしろである。186センチの上背の大きさもだが、立ち姿、投げ方を見るとバランスが良く、無理な投げ方をしていないのも大きなポイントである。

 1回表、押し出しと6番北川 光(3年)の2点適時打で3点の援護をもらった大関はその裏、ストレートの球速こそ120キロ後半だったが、縦の変化球を織り交ぜ、2奪三振を奪う上々のスタート。

 さらに2回裏はストレートの球速が130キロ前半までスピードアップ。高低を使い分けながら、2奪三振。そして3回裏には、この日最速となる134キロのストレートを軸にぐいぐい押して、アウトはすべて三振。3回まで7奪三振というハイペースである。

 まだ驚くほどの球威はないのだが、テイクバックがコンパクトで、右肩の開きが抑えられているので、打者にとっては、なかなか腕が出てこないなと思った瞬間に一気に腕を振り出されるために想像以上に打ち難い。本格派というよりも、出所の見難さで勝負する実戦派だろう。大関は4回無安打8奪三振の好投で、降板。大事な初戦でしっかりとその役目を果たした。

 身長が高い左腕は制球に苦しむ傾向に多いが、大関にはその傾向は見られなかった。さらに球速面で大きく成長を見せれば、来年の今頃にはもっとスカウトが集まる存在になっているに違いない。

 大関の好投に奮起した打線は5回表に、無死一、二塁のチャンスを作り、大関自ら右中間を破る二塁打を放ち、二者生還し、5対0。9番野口 勇太(3年)が犠打で一死三塁とチャンスを作り、1番中野 良祐(3年)が中前適時打を放ち、6対0。2番佐藤 泰成(3年)は失策で、一死一、二塁。3番八角 光太郎(3年)が右中間を破る二塁打を放ち、7対0に。一死二、三塁として、4番鈴木 竜平(3年)が2点適時打を放ち9対0と大きく突き放す。

 5回裏から2番手の屋代 陽汰(3年)が登板。土浦二は屋代から6番石崎 翼(2年)、沼田 慎之介(2年)の連続安打、一死となって、9番鈴木 尚輝(3年)の四球で満塁に。1番福田 拓生(2年)が凡退し、二死満塁となったが、2番古澤 晃佑(2年)が中前適時打を放ち、9対2と2点を返す。だが後続が続かず、6回、7回も無得点に終わり、9対2で土浦湖北がコールド勝ちで3回戦進出を決めた。

 この日は大事な初戦で、エースが期待通りの投球を見せた。今後は体力消耗の激しい夏に、クオリティを落さずに如何に試合を作れるかが課題となってくるだろう。

 今春の県大会準決勝では本来の投球が出来ずに悔しい思いをした。チームも敗れ、あと一歩で、関東大会出場を逃した。念願の甲子園へ、この夏は春よりも逞しくなった姿を見せるつもりだ。

(文=河嶋 宗一)